元親×元就

□猫になれば *
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元就はゆっくりと目を開いた。
体が重く、変な感じがする。
何が起きたのか瞬時に理解出来なかった。
ああ、そうだ…。
執務を終えて立ち上がろうとしたら急に立ち眩みがし、目の前が真っ暗になってしまったのだ。
そこまでは記憶にあるのだが…何故だろう。
布が被さっていて身動きがとれない。
誰か家臣が寝ていると思って布団を掛けてくれたのだろうか?
それにしては掛け方が乱暴だ。
どかそうと手を目の前に持ってきた瞬間、元就は叫んだ。

「ニ゛ャー!!」

しかし、ギャーと言う叫び声すら出せなかった。
代わりに出たのはしっぽを踏まれたような猫の鳴き声。
ちなみに目の前に現れた手も猫の手…いや足だった。
元就は慌てて部屋から飛び出し庭の池にその姿を写した。

猫だ、どこからどう見ても白い毛の猫が水面に写っている。
な、何故我が猫に!!
落ち着け、落ち着け…。
元就はゆっくり深呼吸をした。
流石は詭計智将毛利元就、判断は冷静だ。
とりあえず落ち着きを取り戻してから部屋に戻ると、中身を失った服が畳に転がっている。
服だけあるのはとても変だ。
それに服だけが家臣に見付かればそれこそ大騒ぎになる。
元就は口や足や体全体を使って、執務をする机の下に服を押し込んだ。

さて、これからどうするか…。
結果には原因がある、こんな猫の姿になってしまったのにも原因があるはずだ。
今朝からの行動を思い返していたら、廊下を歩く足音が聞こえてきた。
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