元親×元就

□宝物 *
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「あっ…ああああ!!」
「くっ…」

元就の体内から自身を抜き、白濁を元就の体の上に出しきった元親は荒く息を吐いた。
元就も同様に快楽の証を放ち、乱れた呼吸をゆっくり整えた。

「明日…忙しいんだよな?」
「あ…ああ……」

元就の中に出す方が気持ちいいのだが、元就から中に出すなと言われたので仕方がない。
近くにあった布巾を掴み元就の体にかかった白濁を拭き取る。

「じゃあもう寝ろ」
「ん…」

性交で疲れたせいか元就は瞼を閉じてすぐに眠りについた。
元親も体を拭いて元就の隣に寝転がる。

顔を横に向ければ愛する人の寝顔。
起こさないように息を潜めて、静かに頬を撫でれば柔らかくキメ細やかな肌の感触。
勝ち気な瞳は瞼の裏、長い睫毛が目を閉じることで際立っている。
うっすら開いた桜色の唇からは規則正しい寝息。

詭計智将と呼ばれ人から恐れられる元就も、寝顔は幼く可愛い。
恐らく自分だけが知っているであろう無防備な元就の姿。

「元就…」

名を呼べば愛しさで胸が詰まる。


素直じゃない恋人。
でも、ふとした時にくれる素直な言葉は何より心に沁みる。

笑顔は本当に綺麗で吸い込まれそうに感じる。

白くて細い手や足は折れそうで、戦の度に気が気じゃなくなる。

低くでも艶を持った声で名を呼ばれれば、どんな状況でも其方を向いてしまうだろう。



宝物だ。
金や銀や小判なんかよりも価値があってかけがえのない宝物。
誰にも奪わせない宝物。
全てを失ってでも守りたい宝物。


起こさないように優しく自分の方に抱き寄せる。
元親の涙は目から流れ落ち、元就の髪に降り注いだ。




君への愛しさが、僕の涙を誘うんだ…。




 

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