宝物小説

□表現方法
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「・・・何故、我の部屋にいるのだ?」

眉間に皺を寄せ不機嫌そうに尋ねる様子にからかいたくなった。

「それが、俺にもわからねえんだよ。お前の事考えてて気が付いたら此処にいたんだよ。」

本当は逢いたくて来た。ただそれだけ。

「・・・我を謀って何が楽しい。よもや、そのよう話を、我が信じると思っているのではなかろう?」

真面目なお前をからかうのは楽しいが、凍るような冷たい目に見詰められていたくはない。

「・・・嘘じゃねえよ。お前に逢いたくなって思わずきちまったってことだ。」

ふっと瞳が柔らかさを取り戻す。

「何故最初からそのように申さぬ。」

そんなの、決まってるだろう。 お前が可愛いからだ。

「さあな。」

嫌な顔されるのが怖くて臆病になる。

笑ってくれなくても良い。

ただ、嫌われてしまうことだけは嫌だ。

「言いたくないのだな?」

もう良い。と、言い反らされた視線。

「拗ねてる元就珍しい。」
「拗ねてなどおらぬ!!」

何を伝える可きで、何が過ぎているのかが、わからなくなる。

怒る姿も愛おしいけれど、

本当は君を怒らせたいわけじゃない。

「俺は・・・」

「なんだ?」

俺が元就を見詰めるように見詰めて欲しい。

「お前が好きだよ。」

「何が言いたい?」

眉をひそめてそう尋ねる姿も愛おしくて愛おしいから泣きたくなる。

「お前が好きだから、お前に逢いたいし、お前のいろんな顔が見たくてついつい調子にのっちまう。」

お前は俺のこういうところに嫌な顔するんだろ?

「馬鹿者。」

元就のほうから俺に触れるのなんて珍しくて、繋がれた手が熱を持っている。

「うぇ?!」

「我は、いつもどんな顔をすべきか悩んで・・・」

不意に顔を逸らすと手を掴んだまま、こちらに背中を向けてしまった。

全く敵わない。
何だってこんなに可愛いんだよ。

「本当は、元就が居てくれるだけで十分だから。」

繋がれた手のぬくもりがきっと答えだ。

「だから、どんな顔してても良いよ。」

元就自信が何より大切で大好きだから。



END

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