宝物小説

□お犬様と夏 *
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「あつぃ…あつぃぞぉお…」

茹だるような暑さの中で利家は一人、褌一枚のままごろりと縁側で横になっていた。
戦もない平和な今、武士である利家の仕事は今の所ないようだ。
まつは何やら食料を探しに行ったが…。

「それがしも…行きたかったなぁ…うぅ。」

利家はこの屋敷を守るようにと、まつに言われてしまったのだ。
――今は、慶次が京に行っていないから。

(慶次…会ってないなぁ…寂しいぞ…)

「俺がどうしたって?」
「わぁあっ!!!」

目の前に大きな影が出来た。
驚きながら見上げると、そこには…

「け…慶次ぃ…?」
「ははっどうしたんだよ利〜そんな蕩けるような顔しちゃってさ。」

そう言うと、利家の横にどっかりと座る。真夏だと言うのに、慶次はいつもの格好だった。

「とけっ…だって、あつぃんだ…」
「あ〜利、暑がりだからね。大丈夫?」

そう言いながら慶次は懐から手拭いを取り出すと、利家の身体に流れた汗を拭き始めた。

「ほら、ちゃんと拭かないと風邪ひくよ。
知ってる?夏風邪はナントカが引くって。」
「むぅ〜……慶次は…なんでそんな涼しそうなんだぁ?」

えへへへ。

そう笑うと、慶次は利家に口付けた。
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