日々草
□なな
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……なーんて会話をしていたのが数時間前の話。
***
「ひ……ひひっ」
「う、えぇ〜……?」
早乙女はるか、只今7時30分頃18才、場所、路地裏。人生初のー……
▽不審者対面中!
……おいおいおいおい嘘だろ。
や、確かに可愛い女のコがコイツに絡まれてたから助けにはいっちゃったよ?
女のコちゃんと逃がしたよ?
不審者もう良からぬ事する相手いないからどっかに去ると思ったよ?
……何 故 去 ら な い !?
スゴいね、不審者とまでいけば顔なんて見ないんだね。
もしかしたら女装したおっさんでも寄ってくるのでは?
トレンチコートを着て大きめのサングラスとマスクをつけているコイツは正に典型的な不審者。もうちょい頭使えばよかったんじゃ?なんて事を考えてもしゃーないからとりあえず路地裏から出る事にする。
リュックを先に向こう側に投げれば不審者の目線も自然とそちらにいく。
その隙に痛む左足を無視して不審者の方に走れば一メートル手前で地を蹴った。
一気に目線が高くなり不審者の後頭部が見える。
――あぁ良かった、鈍ってなかった、なんて。
着地まで気を抜いてはならない。つかこのまま両足で着地したら今度こそ右足死亡フラグ?それはさすがに嫌なので少し体を傾けて負担を減らし、リュックを乱雑に掴み駆け出した。
当然の如く不審者は追ってきて、なんだか楽しそうに憎たらしい笑みを浮かべてる……気がする。
路地裏をもう少しで抜ける――というところで骨の歪むような鈍い音と共にいきなり私の前からもの凄い勢いで黒い何かが飛んできた。
「あぶなぁっ!?」
「ぐぇっ!!?」
先ほど不審者を飛び越えるのと同じ容量でその何かを避ければ次は不審者が居たであろう近い場所から蛙の鳴き声の様な声が聞こえて、後ろを振り返ってみれば――、
「あ、あれ、誰もいない……?」
後ろにみえるのは真っ直ぐ続いている長く暗い路地のみ。
慌てて辺りを見渡せば、
「ぎゃあ!?し、屍の山!?」
屍の山であった。
駆け寄って観察。
黒の学ランを着ているその人達は三ヶ所くらいに分かれて積み上げられている。
いつの間にこんなものが?つか死んでないよねこの人達、不良?なんかめちゃボコられた形跡あるんだけど相手どこいった?
「――って事は今の飛んできた黒いのって、」
「人間だヨ」
「ぎゃーっ!?」
「オマエ、さっき面白い動きしてたネ」
「いいい、いつからそこに!?」
「さっき」
「そ、うですか」
多分この人だ、屍の山つくったの。
屍の山の頂上には悪魔が降臨しおられた。
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