日々草
□さん
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――なんだか周りが騒がしい。
はるかは覚醒していないほとんど役に立たない脳みそでふと思った。
生徒が自由に動き回りその大半の生徒の表情にはどこかすがすがしさを感じる。どの教室でも人口密度は普段とくらべると少なく、目に見えて残っているのは机、ロッカー、さらには床に生徒が置いていった教科書等だった。
Z組にはお菓子の袋なども見えるが、それは見逃してもらいたい。
「……んぅ」
はるかからはなんとも気の抜けた声にならないものがこぼれた。
それは特に意識している訳でもなく、ただこぼれたものである。
それから十秒ほどたっただろうか、そこで目をうっすらと開き、顔をあげたはるかは気付く。
「…………ほーかご?」
Z組の連中はほかのクラスと比べて比較的多く残っており、はるかにいち早く反応したのは朝に「可愛い」の一言を言われ魔法にかかったかのようにはるかになついた神楽だ。
「あっ、はるかやっと起きたアルか!!」
「うぇ?あ、えと、うん、やっと起きちゃったよ」
たはは、と笑うはるか。まだ100%開いていない瞼をみると「コイツまだ眠いのか」という事も分かる。
「一日中寝てた?私」
「えぇ、それはもう泥のようにね」
「あっ、妙ちゃん」
「すごかったわよ〜はるかちゃん、先生に叩かれても起きないんだもの」
「どうりて頭痛がすると思った。で、その先生女性?男?」
「男」
「うっわ、どーせ叩かれるなら女教師に叩かれたかったな」
「……え、はるかちゃんソッチ系?」
「や、ソッチ系ではない。と信じたい」
「願望じゃない」
「姉御、ソッチ系って何ヨ?」
「神楽ちゃんを汚すわけにはいかないから今の話はすっぱり忘れてね」
間一髪いれずにはるかは答えを返す。
聞かれたのは妙だというのに答えたのははるか。
神楽は少し不満を表しつつも「不機嫌な表情も可愛いッ!!」の一言にはたまた魔法をかけられた。