novel

□お手手繋いで
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「みんなー!手ぇ繋げー!」
「「「1、2、3ー!」」」

あー…また今日もダメだったなぁ…

がっくりとうなだれてから少し目線をあげると、愛しい人が目に入る
ツートンカラーの髪を揺らして、ニコニコと談笑する横顔
ああやって他のメンバーには愛想よく話すのにライブ以外ではあまり寄ってきてくれない
ライブでは恒例のみんなで手を繋いでジャンプするときだって繋がせてくれない
何気なく近づいただけで逃げられる

そんなに俺と手をつなぎたくないかよ、そーかそーですか

俺の心の内なんて1ミリも気にちゃいない顔でてっこくんと話して
ていうかこんなにも(こっそりと)見つめてるのに全くこっちを見ない
いや、見られても困るけど

「よーう、じろう君よ!打ち上げ来るよなー?」

ウキウキと近づいてきた琢郎くんが俺の背中をぺしぺしと叩く
…トノくんは来るのかな

「うん、行く」

「おし、トノーじろうも行くってよー!」

心の内でギョッとした
そこはてっこくんに言えばいいのになんでわざわざトノくんに言うんだ
ほら見ろ案の定「は?」みたいな顔してるじゃん…



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