novel

□お手手繋いで
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「いや別に深い意味はなくて、あの、ライブのさジャンプあるじゃん?俺トノくんとだけ繋いだことなくて…」

慌てて弁解してもますます変な風に聞こえる

「つまりは俺と手繋ぎたい、と?」
「ち、違うそんなんじゃ」
「ほい」

スッと差し出された手
困惑と驚きで訳もわからずその手に触れると、俺の手を軽く握って「いち、にぃ、さーん」と言って少し上へとあげた
ライブのときに差し出すように

「ちょっと照れくさかったんだよ。じろうと手繋ぐの」

視線は空になったグラスへ落とし、口角をあげて薄く笑うトノくんは綺麗という言葉がよく似合う気がした

「そりゃまた何で…」
「んー?好きだから?」

どきっ
好きという言葉を聞いた途端に心臓が痛いほど飛び上がる
今、好きって言った…?
言った本人は照れる素振りも見せないでしれっとしてるし、聞き間違い?

「まぁ好きだから近くに寄れないわ打ち上げには誘えないわ…琢郎のヤロー、大きい声で俺に言いやがって」

こっそり報告しろっつったのに、とぶつくさと呟いていた
だから琢郎くんはトノくんに言ってたのか…
好きだなんて…

「なんか顔赤いけど」
「えっ!」
「今照れるのは俺の役目じゃん」
「じゃ、じゃあなんで照れないんだよ…!」
「照れ隠しなう♪」
「……」

照れ隠しにしてはやけに平然としてるけど、ときどきスタッフが楽しそうにしてるのを見るときは若干顔が赤いような気もした

「照れるってことはさぁ、じろうも俺のこと好きってことでいいんだよね」

俺の方は見ずにトノくんは呟いた

「好き…です」
「なんで敬語なんだよー」

トノくんが今度はこっちを見る
目が合う
お互い顔が赤くて、今好きな人と気持ちが通じあえてお互いに嬉しかった
トノくんが照れ隠しに笑ったあと

「二人だけの秘密ね」

と言った



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