BOOK
□A tale finishes and starts again.
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昨夜はいっぱいバニーちゃんと遊んで、話した。
両親の話しをお互いに話したりもした。
「僕、かけっこ大会で負けたことないんだよ!」
「絵もみんな上手ってほめてくれるの!」
「バイオリンも弾けるんだよ!」
「お父さんもお母さんも優しくて、ロボットのけんきゅうをしてたの!」
楽しかった思い出、一緒に行った場所、寝る前に読んでくれた本…
朝目を覚ますと、隣にバニーちゃんはいなかった。
元にいた世界に帰ったのだ。
それは妙にしっくり、胸に入ってきた。
『……………』
過ごした時間は短かったけど、家族というものが何であったか、久しぶりの感覚を思い出させてくれた。
バニーちゃんはもう起きたかな?
隣に私が居なくて泣いてないかな?
部屋を見回すと確かに今までここに、この部屋に存在していた。
子供用の歯ブラシ、お揃いで買ったマグカップ、一緒に使ったお皿。
家族って言うより新婚の夫婦かって感じだけど(笑)
きっとバニーちゃんは大きくなったらイケメンになるぞ。
それで優しい子になる。
お母さんが保証する!
大きくなった姿を見れないのは残念だけど、しっかりした子だから絶対大丈夫。
お母さんも頑張るから、バニーちゃんもしっかりね。
遠くで世界が違ってもちゃんと思ってるから。
『ありがとう。バニーちゃん』
大切な思い出を。
大切な時間を。
A tale finishes and starts again.
(物語は終わり、そしてまた始まる。)
ある漫画を一冊手に取り、パラパラと捲ってみる。
(『あれ、これ……』)
口角が緩むのが、自分でも分かった。
そして数巻手に持ちレジへ持って行った。
END?