A clown laughs.(道化師は笑う)
□Erasion
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「俺はウロボロス」
ウロボロス―――。
聞いたことのない名前だったが、聞くとウロボロスとは簡単に言うと犯罪組織だそうだ。
『……それだけ?』
「これ以上君が知る必要はないよ、七海ちゃん?」
『ッなんで名前を…!?』
「俺はなんでも知ってるよ?」
気持ち悪いくらいに表情を崩さず、ずっとにっこりと笑ったままそう言う目の前の青年。
その後ろから、また人の気配を感じた。
「遅かったじゃないか」
「少し、用事があってね」
「ふぅん、まぁいいや。じゃあ後は宜しく頼むよ」
「分かった」
仲間だろうか。
人の気配を感じるだけで顔は薄暗くて確認できない。
「さぁて、七海ちゃん、今日から君は生まれ変わるんだ!」
『……どう言う…』
「そのままの意味だよ」
いつ近づいたのだろうか。
青年の仲間が目の前まで来ていて、彼女の頭をやんわりと包んだ。
「おやすみ、七海。良い夢を――」
青色に光る視界と、薄れていく意識の中で最後に見たものは笑っている青年と蝶のネクタイだった。
Erasion
-抹消-
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