赤い狐が笑う頃に....

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「赤い狐の居るところには

必ず、黒い猫が現れるんです」

そう言うと歌詞さんはすこし、悲しそうなそんな表情をした

多分、私のことを気にしているのだろう

「大丈夫ですよ?私はそういうことあまり気にしませんから」

そう言って

にっこりと笑う

.......これが作り笑いだと

赤い狐はいつ気付いてくれるのだろう

まぁ....そんな淡い期待はすぐに弾けてしまう

そう考えていると

「.........ッ

やっぱりッ....これ以上続きは話せませんッ!!」

今回の赤い狐はすごく優しいよ

やっぱり.....

私って幸せなんだね

そう思いながらも

歌詞さんの頬に私は触れた

今まで、俯いていた歌詞さんが顔をあげる

その事を確認してから

私は言った

「歌詞さんは.....私のこと分かってたんですか....?....

......私が黒い猫のことを....」

そう言うと

こくんと歌詞さんは頷く

「じゃあ.....最後のことも知っているんですか?

"赤い狐が笑うと黒い猫はいなくなる"って言うことを.....」

「.....もち.....ろん.....です.....」

そう言って

涙を流す歌詞さん

「優しいね.....君は

今まで、何人のも赤い狐を見てきたけど

君が一番優しいよ.....

じゃあ、私からのお願い聞いてくれるかな?」

そう言うと

こくんと頷いた

「じゃあ最後に.......笑ってくれるかな......?

私を見て.....」

そう言うと

歌詞さんの肩がビクンッと震える

......やっぱり、抵抗あるんだ

そう思っていると歌詞さんが口を開いた

「茉莉さんが.....消えてなくなったらッ!

......僕は生きていけませんよッ!」

「......大丈夫.....消えても

歌詞さんが生きられる魔法をかけてあげるよ....

だから.....笑って...?」

そう言うと

歌詞さんが顔をあげた

「.....本当ですか.....?....」

「うん.....それにまた戻ってくるよ.....」

そう言うと

歌詞さんは笑った

「また.....戻ってきてくださいよ....?

これは約束ですからね....?....」

「わかった.....絶対に

歌詞さんのそばに

戻ってくるよ」

そう言って

私は消えた.....
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