魂導く灯の偽物

□第三話
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-神代・彼の世-

原作の主要人物と顔見知りになってしまった私は現在15歳。

──因みに前世の年齢足すと不味い年齢になる。

まぁ時期に2000歳とか余裕で過ぎる時が来るんだろうけど。

そんな私は今小さな小屋に住んでいる。
現世の“丁”が住んでいた小部屋にも似た、かなりこじんまりとした本当に小さなあばら屋だが。
帰宅して、部屋を暖めて、貰い物の果物等の食物を食べる。
前世とは違ったゆったりとした空気。

過労死なんて狂った理由で人生を終えて、その後たった二三週間で次の人生をも終え、なかなかに波乱万丈だと思う。

《…………つかお前の前世は意味わからん。》

──どういう?

《すげぇ文明だよなァってハナシ》

──多分私の前世には彼の世なんてありませんね。

《益々すげえ世界だな。
 なんのために生きてンだ人間は。
 その世界じゃ》

──何のためだったんですかね。
  あの人生は。





《…………………きっとそれは》








■■■■■■■■■■■■■■■■

さて、場所は変わり教え処へ行く途中の道。





「調子こいてンじゃねーぞ!
 女のみなしごが!」

ちょっとした口論から目の前の男から溢れた言葉がカチンときた。

「どうせお前なんて母親に棄てられた要らないガキだろうがふ!?

『もう一度言ってみなさい。」

「げふげふ、何──」

『もう一度言ってみろ、と言いました。
 或いは“その枝が目に突き刺さる前に泣いて詫びろ”、と解釈して頂いても結構です。」

「わわわわかった!!謝る!」

『何を?何について?
 こうされたから仕方なく謝るんですか?ポンポン頭さん………
 ──謝る理由を明確に述べろ30文字以内に!」

「“みなしご”と言って石を投げて女だとバカにしてすみませんでした!
 許してください!!」

『36文字!(ドサッ、ドゴォ!)」

「ちょっと余ったくらい許してェエエ!!!!」

3文字程度余ったので地面に叩き落として蹴りを入れて許してやる。

《…なんつーか、容赦の二文字はどこに捨ててきたんだお前。》

──前世に。

《………………ι(回収不可能!)》

スタスタ歩きながら会話していると、抜けたところに二人の姿が見えてきた。

『烏頭さん、蓬さん。
 おはようございます」

「…おー百合。
 ………お前アレな。
 “みなしご”って言われるの嫌いだよな。」

『みなしごはみなしごです。
 それは良いのです。
 ただそれを理由にバカにされるのは嫌いです。」

「一回敵だって認識すると徹底的なとこもあるよな」

『……そうかもしれません。」

「(ボソボソ)まぁそーいうとこがゴニョゴニョ………」

──?
  何をゴニョゴニョ言ってるんですか……

『と言うか私は…」

そう言って改めて烏頭さんの格好を見てみる。

『貴方の格好についてが最も討論したい議題なのですが。」

「何でだよ。」

いや、だって貴方無駄に頑張ってません?無駄に。
これでもかというくらいに散りばめられたスカルは何ですか。

『トガッてるといいますか、こじらせてるといいますか…」

「何をだよ。」

──特に

『その何かを意識しまくった髪とか………」

バッ…意識してねーよ!
 これはちょっと一分で弄っただけだ!」

──どう見ても百パーセント一時間はかけてますね。
  …追い討ちかけてみるか。

《ドSか》

──違います

《……………………》

『明らかに誰か特定の女子に向けて書いたことを匂わせる自作の歌とか………」

かっかかかか書いてねーよ!
 女とかキョーミねーし!
 恋愛とかキョーミねーし!」

『ああ、やっぱり女子宛の歌でしたか」

「まさかの誘導尋問!!?」

なかなかに秀逸なキレのあるツッコミを放った蓬さんに賛辞を掛けると、蓬さんは続けた。

「…げふん。
 それより早く教え処行かないと遅れるぞ」

行こーぜ、と付け足して歩き出そうとする蓬さん。

──そういえば今日、昼から市場で競売やるんでしたっけ。

「あー…教え処か、今日試験だろ。
 かったるいなーくそ……。」

──丁度良い

『ではフケますか。」

「お、何だ珍しいな。」

烏頭さんがノリノリなのに対して“またかよ…ι”とげんなり顔の蓬さん。

「えーーーーー……………」

『今日の昼から市場で競売があるそうです。」

「競売?
 百合、そんなのに興味あんの?
 金ねーのに。因みに俺も無いら出せねーぞ?」

『“呪いの金棒”とやらが出るらしいです。」

「ゲェッ!!!
 それ闇市でやってるヤツだろ!」

『おや蓬さん、良くご存じで」

「逆に聞きたいよ!
 何で百合が興味しめしてんの!?
 普通それって男が興味持つヤツだろ!?」

『珍しいので…」

「絶対それだけじゃないだろ!理由!」

全力でツッコミを入れる蓬さんに感心しつつ、烏頭さんの言葉を聞く。

「珍しい道具系好きだよなー…
 あ、百合って将来的に金入ったら収集癖とか出るんじゃねー?」

『否定はできませんね」

「まぁいーや、俺も行こう」

「おい!?
 俺は行かないぞ!?
 教え処行くからな!」

『あ、それは丁度良いです
 風邪ってことにしといてください」

「知らないからな!
 そんなとこ行って!」

蓬さんは尚も反対し続ける。
……………とりあえず決定打を。

『嫌なら来なくていいです。」

しれっと言い放ち、すたすた歩けばホラ。

「お前たちは昔っからそうだよ!」

半ギレながらもついてくる蓬さんと、‘やっぱり来るんじゃねーか’と笑う烏頭さん。

『来るならさっさと行きますよ。」























市場はとてもにぎわっていた。
鬼の好物からいわくつきの妖刀。
かなり何でもそろっているのでお金が自由に使えるようになればここに来たい。

「おお、いわくつきの妖刀が売ってるぞ…………」

「値引きされてるι」

『…妖刀がお買い求め易くなってるって何か悲しいですよね。」

《悲しいな、っつーか空しいな》

――何か価値が下がってしまうのってあからさまですよね。

そこで烏頭さんが不意にやるせない声を上げた。

「俺妖刀一本持ってっけどさ〜
 だっせぇレプリカでさぁ、親父が言うんだよ
 “子供にはこれで十分だ”って」

『ふむ、そういうものですか」

――うちは前世ですら父親とはまともに会話もなかったですからね。

「そうそう、うちなんて“アンタにはまだ早い”って」

『貴方のところのお母さんは優しい方ですよね」

「そーかあ?」

『こないだ私がお邪魔した時も…」

【あらぁーーー!
 百合ちゃんじゃないの!元気?ちゃんと食べてる??】

『…なんてハイテンションで、凄く食べ物くれたじゃないですか」

「あぁ…あれは心配性とおせっかい焼きが同居してるんだよ」

『なるほど…しかし武器ですか…
 私は金がないので一つも…
 いつか自分で稼げるようになったら
 こことかもう一度来たいですね」

そこまで歩いたところで烏頭さんが声を上げた。

あっ!
 あそこじゃねぇの競売場って!」

『…裏口に人が居ませんね」

「百合…、」

『えぇ…入れますね」

意思疎通を果たし、私と烏頭さんは頷きあう。
途中蓬さんが“なんで即そうなるかな〜〜〜”と嘆いていたのは私は知りません。

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