鬼火は丁と浅葱に

□第二話
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あの世は随分変わった。

私もあの子を探している間に大人になり、死後の成長もプラスすればもう14である。

ここ最近はこちらにきて出来た友人に“鬼の中の鬼”と例えられたりと、生前と比べていろいろ性格が変わっている。

「あーさぎっ!」

「あ、浅葱さん〜」

「オイ浅葱。
 競売見に行くぞ。」

上から順に。
流行に敏感でいつも元気な緋色と、いつもおっとり桃乃、何をさせても男前でも本当は母性溢れる皆のママン篝(かがり)。
因みに彼らが“鬼の中の鬼”の名付け親である。

『競売?」

「ああ、なんでも呪いの金棒とやらが出るらしい。」

『うわ胡散臭い。」

「ほらほらー!行こー!」

ぐいぐいと腕を緋色に引かれ渋々歩きだす。

てくてくと歩くこと約15分ほど。

競売場らしきところがみえた。

『あれかな?」

「あれだな」

「あれだね!」

「あれですねぇ〜」

そろっと近付けば。

「…裏口が開いてるな。」

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「というか。」

『?」

「呪いの金棒ってどんななのさ?」

『知らないでついてきてたの、緋色ι」

「インドとか中国とかにある地獄ってゆー機関で使ってた武器とかをギュッと凝縮して「うわっ!!」…誰か来た」

誰かの叫び声が聞こえ物陰に身を潜めた。

耳を澄ませる。

「何だ、鏡か……
 俺が映ったのか」

「これは…照魔鏡に見えますね」

人影は3つ。暗くて見えないが多分男の子だ。

「男の子だね〜(ひそひそ)」

「男だな、恐らく同じ目的だろう」

私達はヒソヒソ話す

「年季の入った拷問道具を凝縮して作られ、いくら使ってもトゲが丸くならないそうです。」

なんだろう…耳にスッと届く声だな……

「この金棒は持ち主を選ぶとかで………
 金棒に主人と認められなかった者はこのトゲを足や尻で踏む事故が続くそうです。」

地味に嫌だなぁそれ

「地味だけど確実に痛くて嫌だな。」

あ、ダブった。

「逆に主人と認められれば、物凄く手になじむそうです。」

暫く無言で見つめる彼ら。
向こうが無言で物音一つたてないからこっちも無音で忍んでいます。

やがて…

「見ることができたので私は満足です。」

「しかしこんな呪いモノ競売にかけていいのかね〜?」

「うーん…まぁ扱える持ち主をちゃんと見つけて、預けるべきではあるよね。」

「私も見れて満足です〜♪(ひそひそ)」

「オイ、ヤバイぞ」

『どーしたの?」

「…ここの店主がこっちを気にしだしてるぞ
 みつかるとマズい!」

あ、それは確かにマズイ。
教え処の先生に競売はまだ早いって怒られる。

「オイ、何してんだお前ら」

……………

『ちょっと待てぇええええええ!」

「?」「!?」「!?」「!?」「!?」
「浅葱!?」
「浅葱ちゃん!ダメだよ〜ι
 大きい声だしたら見つかっちゃう〜!!」
「桃乃……見つかってるよ、もう」

『ご、ごめん…
 あんまり店主さんの頭がおかしいもんだから、つい…」

「“頭おかしい”って言うな!
 別の意味に聞こえる」

『あ、これはすみません。」

「つうか何だ!?誰だ!
 そこのガキの仲間か!?」

『あ、いえ、通りすがりの目的地かぶっちゃった他人グループで…」

す、と続けようと男の子達の方を見て私は固まった。






「…………浅葱……です、か?」




『…………君、は…あの君、なの?」





君も鬼になってたのか…
私と、同じ…………






やんわりと心が洗われるような、今までの苦労が報われたような幸せな空気が流れたその途端、KYが現れた。




「あぁあ!!!!
 兄貴コイツだよ!
 さっき俺の首を締め上げた奴!!」

「………チッ
 さっきのポンポン頭ですか」

「テメーか!
 俺の弟をイジメたみなしごのガキは!」

カチンときた。
店主がギャアギャアと騒ぎ立てるので更に悪化。

咄嗟に近くにあった金棒をブン取り、それで足払いをかけてポンポン頭(byあの子)をスッ転ばせる。

スッ転んだポンポン頭を今度は彼がぶん殴り、空中に投げ飛ばされたソイツの髪の鬱陶しい部分を撥ね飛ばした。

「あっ兄貴ぃいいいいいいい!?」

床にズシャーと頭から突っ込んだポンポン頭をガン無視して私と彼はお互いに向き合った。

「浅葱ですよね」

『君だよね……!!!」

「今は鬼灯といいます」

声を聞いて、そしたら急に涙が出てきた。

『ほーずき…鬼灯…会いたかった」

ギュッとしがみついた

「……………浅葱」

またそうして、背中を擦ってくれた。

『居てくれて、よかった」

「私もです。」




(ちょいちょい、お二方…?)
(えっと、知り合いだったの?
 しかも何だかただ事じゃない雰囲気)
(私が死んだ一番の理由だよ、)
(鬼灯といいます。あなたがたは?)
(あ、緋色だよ!)
(桃乃です〜♪)
(篝だ、ところで…その)
(?)(?)
(いつまでくっついてる気だお前らは)
((あ))
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