鬼火は丁と浅葱に
□第一話
1ページ/1ページ
「あれ?見かけない鬼(こ)だね。」
すごく大きな男の人に話し掛けられた。
『…最近死んだところだから。」
「君、名前は?」
化け物につけられた名前なんて嫌だと、なまえは無いと、そう答えようとした時に。
私の脳裏に彼の言葉が浮かんだ。
■■■■■■■■■■■■■■■■
〔浅葱ですか。私のことは丁と。〕
〔丁……?
それって召し使いのことじゃない!
そんな名前私は絶対に呼ばないよ!〕
〔…わかりました。
アナタのことは何と?〕
〔あー!あー!
浅葱って呼ばないでー!
可愛くないからその名前嫌いなの!〕
〔好きですけどね、浅葱って。〕
〔……………ふぇ//////!?!?!?!?〕
〔髪の色でしょう、浅葱とは〕
〔え、あ、うん!そう!
(好きな色のことか…私はてっきり…)〕
〔………?〕
〔ううん!浅葱って呼んで!〕
■■■■■■■■■■■■■■■■
『……………浅葱。」
『浅葱です。おじさん。」
「そっかぁ、浅葱ちゃんかー。」
その大きな男の人は暫く頷いた後、そうだ!と叫んで慌てて走り去ってしまった。
『………誰だったんだろ、あの人。」
その翌日。
再び大きな男の人に会った。
「ああ!そうだ!
浅葱ちゃん、何かあの世で困ってることはない?」
『困ってること…
先に死んだ人の所在がわからないってこと。」
そう言うとじとと見つめられる。
「先に死んだ人が居たのかい?」
『…うん。」
「名前は?」
『あの子は好きだけどあの子の名前は嫌い。
だから絶対口にしないって決めてるの。」
召し使い、だなんて呼ばない。
君は君で、丁じゃないよ。
■■■■■■■■■■■■■■■■