鬼火は丁と浅葱に

□第一話
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「あれ?見かけない鬼(こ)だね。」

すごく大きな男の人に話し掛けられた。

『…最近死んだところだから。」

「君、名前は?」

化け物につけられた名前なんて嫌だと、なまえは無いと、そう答えようとした時に。

私の脳裏に彼の言葉が浮かんだ。

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〔浅葱ですか。私のことは丁と。〕

〔丁……?
 それって召し使いのことじゃない!
 そんな名前私は絶対に呼ばないよ!〕

〔…わかりました。
 アナタのことは何と?〕

〔あー!あー!
 浅葱って呼ばないでー!
 可愛くないからその名前嫌いなの!〕

〔好きですけどね、浅葱って。〕

〔……………ふぇ//////!?!?!?!?〕

〔髪の色でしょう、浅葱とは〕

〔え、あ、うん!そう!
 (好きな色のことか…私はてっきり…)〕

〔………?〕

〔ううん!浅葱って呼んで!〕

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『……………浅葱。」

『浅葱です。おじさん。」

「そっかぁ、浅葱ちゃんかー。」

その大きな男の人は暫く頷いた後、そうだ!と叫んで慌てて走り去ってしまった。

『………誰だったんだろ、あの人。」

 













その翌日。

再び大きな男の人に会った。

「ああ!そうだ!
 浅葱ちゃん、何かあの世で困ってることはない?」

『困ってること…
 先に死んだ人の所在がわからないってこと。」

そう言うとじとと見つめられる。

「先に死んだ人が居たのかい?」

『…うん。」

「名前は?」

『あの子は好きだけどあの子の名前は嫌い。
 だから絶対口にしないって決めてるの。」

召し使い、だなんて呼ばない。
君は君で、丁じゃないよ。

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