破れた羽根を癒せるのなら
□ほんとは・・・(ゆうみな)
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私が言ったら、余計困らせちゃうから…
"また泣いてやがる。"
たかみなは最近よく泣いてる。そりゃ、前からよく泣く子ですよ。
でも、今まで以上に。
なんでかって?理由は隣の部屋で練習している卒業を控えたあっちゃんですよ。完全に!!
「たかみなぁ?どこー?」
隣の部屋からあっちゃんの声が聞こえる。
「たかみなー、呼ばれてんぞ。」
小さな声で呼んでみたが、泣いてるたかみなには聞こえない。
しょうがない奴だなぁ…
「おーい、たかみなぁ。あっちゃんに呼ばれてんぞー。」
「・・・」
反応がない…
困ったもんだ。
いや、でも、ほんとのことを言えば、あっちゃんのところではなく、わたしのとこにいてほしいけど、2人の間に入る隙間なんてない。
たかみなの場合、わたしのことは良きライバルという位置においてるだろう。
だって、正直悔しいけど、あいつはあっちゃんといるほうが本当の高橋みなみらしい。
しょうがねぇな…
「たかみなぁ。おーい、高橋さー…」
「優ちゃーん…」
泣きながらすがりついてきた。
って、おいおい!優ちゃんとか呼んでどうした!それに、いつも、男っぽくてさばさばしてるたかみなじゃなくて、めちゃめちゃ女の子だぞ///それに、目ぇうるうるしてるし、上目づかいだし…
「たかみな、どうした?あっちゃん、よんでたぞ?」
「敦子、もう少ししたらいなくなっちゃう…さみしいよ…」
「それで隣の部屋からでてきたのか?」
私の胸に顔を埋めたままのたかみなは、そのまま"うん"と頷いた。
幼稚園児か!といいたいとこだが、そんだけ悲しいのはよくわかる。けど…
私の胸に埋めたままのたかみなの顔をわたしの胸から離した。
離されたたかみなは"え?"って顔をしていた。
そんな顔するなよ…
「悲しくてもあっちゃんの卒業はもうきまってるんだから、残された時間を楽しく過ごせよ。あっちゃんだってそう思ってるよ。だからほら!あっちゃんとこ行って来い!あっちゃん待ってるぞ。」
そういってたかみなの背中をトンっと押した。
「………。優子、ありがとう!行ってくる!」
一瞬のうちで笑ったたかみなは、涙をぬぐっていってしまった。
「ねぇー、たかみなぁ?」
「はいはーい!ごめーん、あつこー!」
「たかみなまた泣いてるー!」
・・・・・・
たかみな、ほんとはね、わたしのとこにいてほしかったよ。けどね、今のあっちゃんにはたかみながひつようだし、今のたかみなにはあっちゃんがひつようなんだよ…悔しいけどわたしじゃない。
わたしが必要になったらいつでもおいで。大島さんはここで待ってますぞ!
fin