短編

□トリコがマジ告白
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「ポッキーゲームしようぜ!」

「は?」


とある昼下がり。実に解せない。何にと言えば、一つはこの目の前の大男、笑顔の眩しいトリコという人物に私の読書を妨害されたことにだ。

この男、最近ことごとく私の読書の邪魔をする。ハントならコンビと行けと常々言っているのだが。

さて、二つ目は今この男が口にした台詞だ。この世界に所謂トリップというものをしてまぁ久しいがこの世界にそもそもポッキーと言うものが存在するのか。

そこを置いておくとしてもだ。何故突然この男は私にそれをしようと誘うのか。

憶測で物を言ってしまえばもしかしたら私たちの世界同様ポッキーの日などと言うポッキーを買いまくり食べまくる謎の日があるのかもしれない。そしてそれが今日。とか。

もしくはトリコの気まぐれか。それなら断固拒否させていただきたいものだ。私はこの世界の文献に目を通すのに忙しいということがわからないのか。まぁこいつはそういう男だな。

一つ溜め息をついて見せる。トリコがきょとんとする。手にはよく見たら図体に似合わない細いポッキーが持たれている。極細に見えるが、あれは恐らく通常サイズだ。


「何だよ、嫌なのか?」

「私は常々読書の邪魔をするなと言っているつもりなのだが君には大脳皮質の感覚野が無いのか。」

「や、記憶の方がアレなんだと思う。」

「…そうだな、会話はよく考えてみれば出来ていると言えるだろう。」


これは嫌味なのだがわかっているのかこいつは、本当に腹立たせるのが上手いなと毎回思う。

また溜め息を吐く。幸せが逃げると言われた。お言葉ですが、トリコ、君のせいだぞ。

というか私とこいつはポッキーゲームなどというゲームを共に興じようなどという仲では無い。それなのになんなのだこいつは。

嫌なのか…と呟いたと思ったら餓鬼みたいにしょげた。本音を言うぞ、面倒臭い。この巨体がしょげても可愛くないと言うことを知れ。

凄く嫌な顔をしていたらちらりと先程までポッキーに向けていた視線をこちらに向けた。まぁ腹の立つことにまるですがるような視線だ。

ついに私は苦虫を噛み潰したような顔をしているに違いない。嫌だ嫌だ、絶対にしないぞ、しないからな。

視線を文献に戻した。もう話すことは無いと言うような感じで。

すると何を思ったか近付いてきたトリコ。ふざけるな貴様。

視線はそのまま、内心びくびくしてる。大抵ハントに誘われたらここで連れていかれるが、生憎今日は違う。

…よくよく考えてみればこれは危機感感じるレベルだ、逃げよう。

座っていたのを立ち上がり、本を持ったまま玄関を目指す。いつもは抱えられてくぐるそこに到達する前にあいつの手が伸びてこないように祈りながら、視線はあえて本に向ける。

あと少しのところでがしりと何かに捕まれて、いや何かなんてわかってるけれども、動きが止まる。いや、止められた?

しかし予想のしていなかった引き留め方に完全に固まってしまう。あの太い腕が首のあたりに回ってて、おい私殺されるんじゃないかなんて的外れなことを考えてしまった。こんな引き留め方初めてだ。

それに背筋がぞわりとする。なんだか恐怖でもない感じたことの無いその悪寒で頭が混乱してきた。やばい、やばいぞ私。ここは間違いなく逃げないといけないシチュエーションだ。

しかし体がうまく動かない。それに追い討ちをかけるかの如く耳元でトリコが私の名前を囁いた。またぞわりとして、ついに固まる。

おい、どうしたんだ今日に限ってこいつは、そして私は。体が動かないし、どうしたらいい。誰でもいい、もうこの際誰でもいいんだ、助けてくれ。

その時私はふと思い出す。そうだ、ここは私とトリコだけではない!!


「ずっと言おうと思ってたんd「テリィィィィイイイ!!help me!!」!?」













一世一代の大告白


(何でこう上手くいかねーんだと思う、ココ。)

(トリコのアプローチの仕方に問題アリかな。)













ポッキーの日があまり関係無い気がする。



2013/11/11

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