少女は捕食者が苦手
□2014H.D
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「ホワイトデー?」
「え、ええと、はい、」
「…貰ったのか?」
「あの、副料理長のお三方に…。」
「…ふむ。」
最近一緒にいる大竹さんに、ホワイトデーの話を持ちかけてみた。何故って、私何も作れないもの。
だからって大竹さんに全部してもらおうとか考えてるわけではなくて…ええと、関係をよくするためにもその、一緒に作れたらと…考えたわけでして…。
私からもなんとか、歩み寄ろうと思った結果、一石二鳥も狙ってホワイトデーの話に…。
副料理長ズにお礼をするには今日しかない。バレンタインも貰ってしまったし…。それからいつもお世話になっているし…。
今日はチャンスなのだ。必ずや、皆様に何かを…!
「…俺のレシピでいいのか?」
「勿論です!あ、でも食料庫の食べ物は使えないので何かとってこないと…。」
「何か、か…。」
また悩みだした大竹さん。どうやら協力はしてくださるみたいだ。ありがたい。大竹さんにも何か作れたら作ろう。
そう考えていたら大竹さんが急に私をぱっと見た。ついきょとりとした。
「…あの?」
首を傾げる。が、向こうはじろじろと私を見て動かない。え、何です?何かついてます?
「6支部とは知り合いだな?」
「え、はい、…はい?」
急に紙とペンを取り出して何かを書き出した大竹さんにまたしてもきょとりとする。何ですか、それは。
少し呆気にとられている私に何かが書かれた紙が渡される。多分甘そうなもの…の名前。
「6支部に行ってそれをとってきてもらえ。」
「…え?」
…頼むんですか?
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「キノコプリンにわたがしの木…クッキーアルパカスウィーツサンゴ、天然チョコの噴水…ゴメン、聞いていい?」
「はい」
「何作んの?」
「私もわかりません」
「てか全部人間界でとれるし…なに?オイラなめられてるの?」
「いえ、私がセドルさんに直接頼むとは思ってなかったんじゃないですかね…。」
「…ま、別にいいケド。それより伊織、何か言うことあるんじゃない?」
「?」
「…あるんじゃない?」
「…?ちょ、ちょっと待ってください?………?あっ、えと、新しい仕事着ですか?」
「そう!!それ!!どう!!!?」
「え、に、似合ってますよその、格好いいです、…(でも何で上半身腕だけ隠してるんですかね。)」
「えへへ」
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「作れないとか言ってたな?」
「はい、まったく。」
食材を持って帰ってきた私にズバッと聞いてきた大竹さんに私は真剣な顔で頷く。
特に動物とか使うとなると…と付け足すとそれは聞いたと返ってきた。どうやらスタージュン様が伝えていてくれたらしい。
また悩む大竹さん。私は棒立ち。
「…下拵えだけする。少し出ていけ。」
「あ、はい。」
…結局私には料理なんて無理なのでは。
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「お菓子の家ですか?」
「小さいものだがな。」
成る程、積み上げるだけなら私にもできる、考えましたね大竹さん、尊敬します。
「三軒か…。」
「あの、よければ大竹さんにも…」
「…四軒?」
「一つ教えていただけたら出来ますので…。」
「…わかった、ついてこいよ。」
「ゆっくりめでお願いします、」
「日が暮れないうちにできるといいな。」
仰る通りで。
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「こんなに楽しみなのも久々。」
「何を作ったのだろうな。」
「さァなァ。」
ああ、期待の話し声が聞こえる。少し嫌だ。けれどせっかく作った(積み上げた)のだから食べていただきたい。でもやっぱり恥ずかしいな。
ぎゅ、と胸の辺りの服を握る。背中にぽん、と手を置かれて振り向くと大竹さん。
励ますように小さく微笑んでくれた。…よし。
扉を開ける。台を押す。視線が降る。ああ!!逃げたいかも!!
「…ええと、ハッピーホワイトデー…なんて…」
控えめに呟いてみる。お三方の目線は、お菓子の家…。
「へぇ、料理できないにしては頑張ったネイオリ。」
「また大竹らしいチョイスだな。」
「ちゃんと美味そうだなァ〜?」
あ、グリンパーチ様の台詞にもう泣きそう嬉しい。
伊織のホワイトデー
(うええ、嬉しいですぅ、)
(!?な、泣くな、ほら俺の作ったの食べていいから、)
(アレ、いつの間に仲良くなったの。)
(これを作る間だろう。)
(…いいんだか悪ィんだか。)
悩んだ末に竹さん出てる
2014/03/14