少女は捕食者が苦手

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「おはようニトロくん。」

以前より元気になったニトロくん。あれから考え抜いた末、部屋で食べてから第3支部でも食べるという措置をとっている。

なんだかそうやって過ごしているうちに動きも活発になった気がするし、元気になってよかった。一時はどうなることかと。

ぽんぽんと頭を撫でれば嬉しげに鳴く。私もそれがどこか嬉しくてにこりと笑った。


「伊織っ。」

「あ、おはようございますボギーさん。」

「まだ布団から出てねーのかお前、はやく支度しろよ。」

「え、何の、」

「げ、セドル言ってないのかよバカだろあいつ。」


入ってきたボギーさんの言葉にきょとりとしてしまう。まだご飯も食べていないのに支度とは。

首を傾げている間に布団から引っ張り出される。ニトロくんも一緒に。え、なんなのなんなの。


「とりあえずあとで説明する。ほらニトロ飯食え、伊織は着替えろ、ほら防弾スーツ!!」

「は?」


…防弾スーツ?何だと、まさか、まさかもう、もう行くのか、もう行くというのか!?


「えっボギーさ、」

「わざわざ支部長たち集まってんだ早くしろ!!」

「あ、はい!」


…盛大なお見送りの予感なのだが。


--


「ごめんな伊織、昨日言わなかったオイラが悪い。」

「ほんとだよな。」

「いえ、そんな…。」


うわぁ本当に支部長勢揃いしてる、私なんかのために、ありがたいような重いような…。


「そんじゃ、行くかァ?」

「あ、はい。」


ぽんぽんと頭を軽く叩かれて見上げる。グリンパーチ様は笑ってる。私もつい笑い返す。

その後ろにはジャックくん。なんだか久しぶりだ。


「伊織なら出来ますよ。頑張ってください。ついでに帰ってくるまでには色々調べ終えておきますから。」

「グルメケース持ったか?」

「感じるままにズドッだぞ伊織!!ニトロはオイラに任せてやってこい!!」


…ユー様怖い。笑顔が怖い。あとエルグ様大丈夫です持ってます。セドルさんに関してはズドッて何です。その表現やめてください。やってこいってのもやめてください。

手を振ってくださる皆さんに私も手を振る。ああ、怖い。グリンパーチ様じゃなければ行きたくないくらいだ。

不意に持ち上げられてジャックくんの上。外なんて、久々だな。

ジャックくんが飛び上がり、外に出ると見えたのは。

久しい空の青。これから行く場所を少しだけ忘れて、つい笑んだ。













はじめてのにんむ


(晴天ですねぇ。)

(幸先いいかもなァ。)













任務開始



2014/01/30

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