コミュニティ不振

□2014V.D
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バレンタインほど縁遠いものはない。はずだ。だってこの組織女少ないから。

何で貰う方基準かって?そりゃもう、昔は馬鹿みたいにモテたからだ。女の子に。チョコレートは嫌いではない。美味いし好きだ。

だから毎年嬉しく持って帰って食べた。けれど今、この男所帯。貰えることは無いだろう。

それは問題ない。別にチョコレートなど、食べなくても生きていける。ただ、ただ…。


「ね、レイカ、チョコレート食べたいな〜オイラ。」

「買ってきたらいいのではないでしょうか。」

「普通にヒド、」


せがまれるのは勘弁していただきたい。私は料理は得意な方では無いのだ。そりゃ、レシピがあれば作れる。作れるが、作ったものを食べた人に個性を感じないと言われる始末で。

だから作るのは嫌だし、だからといってパシリは嫌だ。自分で行け支部長。


「手作りに飢えるモンだよ、この時期の男って。」

「それは大変ですね。」

「ごめんレイカ、話は聞こうか?オイラ支部長だよ?」

「…」

「何その顔、」


職権乱用だろ、なんて視線を向けるが通じていない。まったくふざけた上司だ。

上司…上司か。そういえばこの間迷惑をかけた方がいたな。それにこの馬鹿支部長、いや馬鹿のせいでこれからも迷惑をかける可能性大の上司がいた。

そうだ、お詫びとこれからのために作って渡すのも悪くないか…そう、支部長も黙って一石二鳥。

ホワイトデーの見返りは求めない方針で行こう。出来るだけ無意味なことはしたくない…いいな。いい話だ。あの上司に作ろう。


「…レイカ?」

「作ります。」

「えっマジ?」

「要らないんですねわかりました」

「要る!!要りますごめん!!」


--


「こんなもん、か。」


ため息を吐きつつ出来たのはチョコレートタルト。まぁ半分くらいやれば黙るかな支部長は。で、向こうの上司には…半分は多いか…四分の一、私が食べよう。毒味だ毒味。


「あ、美味い。」


選んだレシピが正解だったか。


--


「はい支部長。」

「うわっ半分もいいの?…え、もう半分は?」

「それなんですが渡したい方が居るので渡してきてもいいですか。」

「え、誰?」

「ボギー様です。」

「…は?」

「この間の詫び、それからこれからも迷惑をかけると思っての品です。」

「…へ、へぇ」

「何か」

「いや、何も。…あっウマッ。」


--


やってきた第5支部は思ったより忙しくなさそうだ。とりあえずどこにいるかもわからないので自室へと向かった。

ノック。返事はない。扉は…開いてる。

無遠慮に入っていくと仮眠をとっているのだろうか。すやすやと規則的な呼吸音。シフト表に目を向ければ、彼は今日は徹夜組のようだ。

ならば起こすのはしのばれる。横に置いてあるヤドカリヘルメットの近くにタルトを置いた。

一応、と思って持ってきたメモ用紙にこれが何でどのような理由でここにあるのか、そして見返りは要らないという旨を書きしたため、そばに置いた。

無理をしないでくださいと、何故だか勝手に手が動き、一番下に書き足した。













レイカのバレンタイン。


(っんー………あ?)

(何故勝手に手が…まぁいいか…。)

(…見返り不要?…あー…これからも迷惑かけますよってか………(なんだこの最後の文))













セドルの我が儘ェ



2014/02/14

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