少女は捕食者が苦手
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「ずるいですよ。」
「は?」
「第3支部に置きすぎです。こちらにもまわしていただきたい。」
「たった一月だろ!?」
「…この間すれ違ったのですけど、彼女、やつれてませんでしたか?」
「…え」
「グリンパーチ様に怒られますよ。」
「…」
「明日にはまわしてくださいね。」
「…チッ。」
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「…聞いた?」
膝上ほどの位置にある顔を見て問えばこくこくと頷く。
どうやらユー様のおかげで暫く研究は無いようだ。確かに実績も上げていないしこの研究は平行線を辿ってた、そう言われてもおかしくはない。
少し嬉しくなってニトロくんとハイタッチをする。
「…ンなに嬉しいかよ。」
びくり。肩が跳ねる。恐る恐る振り返ると何だか拗ねたような表情のジェリーボーイ様。
ひょいっとニトロくんを持ち上げて体もそちらを向く。
…ばれてましたか。
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「言われて初めて気付くたぁ、オレはお前を人間として見てなかったのか。」
「え」
「いや、ああ、んー…見てなかったのかもな。」
ジェリーボーイ様に言われた言葉に少しだけ俯く。いや、確かに研究中は人が変わってた、仕方ないっちゃ仕方ない。
けれどショックだ。そうか、見られてなかったのか。ううん。
そんな私の頭に手がぽん、と置かれる。
「…悪かった。しっかし…何でやつれた?飯もちゃんと食ってンだろ?」
「うーん、そこは私も…。」
「わからねぇってか。」
くしゃくしゃと撫でられて手が離れる。それを見送って頭を傾げた。
何故やつれたか?大したプレッシャーがあったわけでもない。ジェリーボーイ様の言う通り、ごはんもきちんと食べてる。
それ以上に動いてもいない。
二人で首を傾げる。
「…まぁ、とりあえず悪かったよ。」
「えっ、いや、その」
「けどまたまわってきたらやらせてくれ。今度は無理はさせねぇよ。伊織は人間だからな。」
こめかみあたりの髪にするりと流すように触れてジェリーボーイ様が笑う。
…ええと、何だかそのしぐさ恥ずかしい。
つい、赤くなった。
一時の休み
(おー、初なこって。)
(すっすみません、なんだか恥ずかしくて、)
(見ればわかる。(研究してて思ったが、からかいたくなる奴だよな。))
…あれ?ジェリーボーイサン?
2013/12/30