少女は捕食者が苦手

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月日が経つのは早いものである。

布団からもぞもぞと起き上がると横でニトロくんがにぱっと笑う。それにおはようと声をかけて頭を撫でれば嬉しそうに喉を鳴らした。

彼と会ってから1ヶ月が過ぎていた。彼には慣れつつあるものの、研究者の顔が垣間見えたジェリーボーイ様には中々慣れない。

目が研究対象を見る目で、何だか居心地が悪いというかなんというか…。

いやうん、楽しそうだから、文句も言わないし、言うつもりも無いのだけど。

ただ、私が怯えるのと比例するように彼も怯えるものだから、なんとなくそこは…言った方が、やっぱりいいのだろうかと思う。

しかしそういうことを言えるほど慣れていないので口は上手く動いてくれないし。そこはもう致し方ない。

とりあえず慣れるところから、と考えたのが15日目くらいだから、半月で慣れられてないということである。

小さく溜め息を吐くとニトロくんがぺちぺちと頬を叩いて不安げに鳴いた。

心配してくれているのだろうか。何だか嬉しくて、けれど同時に申し訳無くて。不甲斐なくて。

大丈夫だよ、と声をかけて、にこりと笑った。

それと同時にノックの音。布団から出てニトロくんも下ろしてあげる。


「起きたかァ?伊織」

「おはようございます、グリンパーチ様。」


笑いかけるとグリンパーチ様も笑う。もとから笑っていると言った方がいいだろうか。

私とニトロくんの分の朝ごはんを運び入れて私の頭をぽんぽんと叩く。


「何かわかったかァ〜?」

「いえ、何も。」


グリンパーチ様は私が研究されていることを知っている。そりゃあ私はグリンパーチ様の管轄下なんだし当たり前のことなのだけれど。

ただ、この研究…さっき自分で言ったように全然進んでいない。研究中にニトロくんが大きくなったのが一回もない。


「まァ時間がねぇ訳でもないからなァ。ゆっくり調べりゃいいんじゃねぇの?」

「…そうですね。」


…このなんとも言えない能天気さが、有難いというかなんというか。私グリンパーチ様に拾っていただけてよかったなぁ。


「ま、ともかく腹ごしらえだ。伊織と、ニトロのために態々毎朝作ってんだからよォ。残さず食え?」

「はい。いただきます!」


とりあえずこのあと研究が待ってるのは今だけ忘れよう。

私のいただきますに呼応するようにニトロくんも嬉しげに鳴いた。













暖かな


((やっぱり美味しいなぁ。))

((美味そうに食うよなァ。))













立場の小さな変動



2013/12/30

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