少女は捕食者が苦手
□8
1ページ/1ページ
曲がり角で髪の毛と、やわらかなパステルカラーの緑のスカートが揺れた。
それはちらりと視界に入ってすぐに曲がった方向に消えた。つい、そちらに足が向く。
至って自然な足取りで曲がり角に接近。窺うように顔を曲がり角から先にひょこっと出す。
いた。なんだか所在無さげにきょろきょろとしてる。曲がってからたいして歩は進めてない。
「ねぇ。」
「っ!!」
声をかけると肩が跳ねて振り向いたその顔。やっぱり、昨日の。
「何してんの?伊織。」
--
「…セドル、様」
「あ、覚えててくれたんだ?」
そりゃ一人だけ包帯ぐるぐる巻きなら覚えます、は口から出ず。苦笑いを返す。
「んで、何してたの?」
にやっと笑ったセドル様にそっと目を逸らす。なんだかその表情にぞわりとして、つい。
ぎゅ、と新しく着た服の胸の近くを握る。
「…グリンパーチ様、を、探してて…。」
「グリン様?んー、今は仕事中…厨房かな?」
ちゅっ、厨房!!何その魔のワード…!!こわ!!
何が起こってるかわからないし…というか美食會の厨房とか怖すぎるよ絶対やだよ、
「…厨房、ですか」
「伊織、顔青いよ?」
また握ってた服を握りしめるとセドル様がくすくすと笑う声が聞こえる。
うう、行きたいけど行きたくない、引っ付いてまわりたいけど仕事の邪魔したくないし、むしろ仕事見たくない!!
どうしよう。やばい頭まわらない。情報をもたらしてくれたのはいいけどセドル様すみませんどっかいって一人にして、
「あっ」
「えっ」
考えているとセドル様が何か思い出したように掌に拳をぽんと置く。その時発された声に驚いてつい顔をあげる。
「そーだそーだ。うん、何で忘れてたんだろ」
「…?」
腕を組んでうんうんと頷くセドル様に首を傾げる私。
直後、またにやりと笑ったセドル様。また、ぞわっとした私。嫌な予感がする。
「説明は後でするからさ、ちょっとついてきてくんない?」
嫌です、は、口を開けども声にならなかった。
なんだこの展開
(…セドル様、どちらへ?)
(行ってからのお楽しみ。とか、どう?)
(…どう?っ、て…)
(あ、ねぇ伊織、機械得意?)
(え、まぁ…?)
(ふぅん。)
((何ですそれ…))
なんで本部にセドルがいるんだという突っ込みはナシで←
2013/12/07