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そこの記憶だけでも、抜けてたらいいなとか。無かったことにならねーかなとか。んなこと考えても、多分無駄なんだろう。

直接その話はしねーが、マキは覚えてるはずだ。


「…」


溜め息を吐く。最後の一匹を搬入して、もう一度。

マキに頼まれて、仕方なく食材調達をして二日目。セドルはまだ起きない。

そのセドルの側にマキは控えてて、ろくに話せてない。…けど。

セドルが言う話じゃ、オレが気持ちを伝えた後に殻に籠った時点で答えになってる。

言葉じゃないのが、また…。精神抉るっつーか、なー…。

でもだからってマキを諦められるわけじゃない。ユーの言ってたように、オレは本当にマキが好きだから、多分ずっと好きなままだ。

…それなのに、こんな近くであいつら見てるとなると、腹立つよなぁ。

まぁそこはポジティブに。とことん邪魔してマキにこっち見てもらうか。


--


「あ、ボギー。」

「マキ。」


セドルが目覚めたのでボギーに教えようと廊下を歩いていると早速向かいからやってくるボギー。

私を見て、なんだか嬉しげに笑った。


「どした?セドルのとこ居たんじゃなかったのか。」


自分で言いながら少し嫌そうな顔をするボギーが可笑しくて、つい笑うとぐしゃりと髪の毛をかき混ぜられる。

それにまた、笑ってしまう。


「んだよ。」

「ふふ、別に。あ、セドルね、起きたよ。」

「ほー、早かったな。」

「また嫌そうな顔して。」


くすくす。笑うとボギーもそれを見て笑う。


「そりゃ嫌だろ。セドルにはマキ取られてるしな。」

「…あ。」


ああ、そっか。ボギーにも言われたんだ、殻に籠って眠る前に。

…そうだ、私。


「ボギー…ごめ「言うな」…え、」

「オレは諦めてねぇから、頼む。…拒絶すんな。」


きょとん。すがるような目に、呆気に取られる。身長差から顔が上にあって、口が開いてしまう。

…ええと、これまた、自己中心な台詞だなぁ。また、消えた笑いがゆっくりと湧いてくる。


「…ぷっ、ははは、いいよ。わかった。」

「何で笑うんだよ…。」

「ふふ、ごめんごめん。」


好きとか好きじゃないとか聞いて思い出すのはジロさんとセツさんだなぁ。ああ、そういえば記憶戻ったし、色んな人に今までのこと謝りに行かないと。

その前に、セドルに気持ち伝えなきゃなぁ。うん。私も、好きだな。













もう貴方無しじゃ生きてけないみたいだね


(うん。でも私、セドルが好きだよ。)

(マキ頼む精神的につらいやめてくれ…)

(ボギーも、いい理解者として好きだよ。)

((それはオレの欲しい好きじゃねぇ…。))













なんて遠いんだお前は。的な。



2013/12/01

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