少女は捕食者が苦手
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「品種改良ってわかるな?」
「はい」
「それが主だ。」
「はい」
「まぁ見ててわかるか。」
「(わかりません)」
「で、二日目なわけだが今日からオレの助手な」
「(うわ不安)」
ガクブルしながら第3支部二日目。頑張れ伊織、今日もグリンパーチ様が声かけてくれただろ。
第6支部に慣れた後だから比較的自然に溶け込む努力ができてる。うん偉い。
偉いけどまだうまく話せてないね、そこ改善しようか私…。
「伊織」
「ひぃぃいっ!!」
「…悪い、あー、大丈夫か?」
「だっ、大丈夫、ですすみません、何でしょうか、」
どうも突然名前呼ばれるのに慣れないな、ここも改善しよう伊織。
この程度で心臓ばくばくだよいけないなこれは。
「そっちの棚の赤いフタの7ってラベル貼ってあるビンくれ」
「あっはいこれですか」
「おーサンキュ。」
…そして作業を始めるジェリーボーイ様…だから私必要なのこれ…。
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「クイズ形式でいくか。親しみやすいだろ?」
「はぁ、そうですね」
休憩時間。いや、私のじゃない。ジェリーボーイ様の。
当たり前である。私はジェリーボーイ様のアレ取れソレ取れを実行しているだけだ。笑うしかない。
そういうわけで申し訳なく思った私は何をしていたのかを聞くことに。働けと言われたからには働かねば…。
ところで親しみやすさは必要なんですか。は、脳内で止める。
「対立形質の優性、劣性はわかるだろ?」
「はい。」
「説明してみろよ」
「え」
「考える時間くらいやる。」
ぶわっと冷や汗。すみませんジェリーボーイ様が居なければいくらでもしますとも。ええ。
ああ逃げたい。しかし待てよこれは発表の場じゃない、落ち着け伊織オーディエンスは一人だ!!
「優性は…必ず発現する形質…劣性は、劣性同士でなければ発現しない形質…。身近なものでいえば、血液型…。A、Bが優性、Oが劣性、だからAB型がある…。」
「おー、好きって言ってただけあるな。正解。」
「これ、関係あるんですか…?」
「あんだよ。」
にやり。と笑ってからどこから取り出したのかバナナを食べ始めるジェリーボーイ様。
バナナ好きなんですか。自分オリジナルをそんな美味しそうに…自画自賛ですか。と思った。うん思っただけ。
「美食會が目指すべき食い物っつったら、わかるか?食べたら、それを言わずにはいられない。」
「…旨いもの、ですか?」
「そう。優秀だな、伊織。」
ぽんぽんと頭を撫でられる。う、照れる。誉められたのもだけど。
「対立形質の優性劣性が旨い不味いで出来てるなら。」
「旨い、だけを?」
「そう!栽培出来るように品種改良だ。それがさっきオレがしてた仕事ってこったな。」
成る程、単純明快わかりやすい。旨い不味いで、か。
けどそれ、劣性が旨いなら…。
「大変だけどな。劣性が旨いだと。」
「!」
え、以心伝心?
「でも、優性が無くなって劣性だけ、つまり生るもの全部が旨くなったとき。これがまた、気持ちいンだよ!!」
…美食會の仕事にも、やりがいと言うものがあるようです。
まるで職場見学
(…手伝いたいです。)
(伊織も味わいてェか。カッカッカ、よし、ちょっとやってみるか!)
((えっぶっつけ本番?))
何これびびり
2013/12/16