少女は捕食者が苦手

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瞼を開ければ昨日寝る前に見た天井と同じ。現実逃避中だからこそ、寝覚めはなかなか悪くない。

朝起きて急かされないというのがまた、清々しさを感じさせる。しかしそれと同時に家族を思い出す。

心配してるかなとか。そうであるならば申し訳ないとか。

けれど帰る方法がわからねば致し方もあるまい。とりあえず、起き上がる。


「あ、起きたー。」


…!?


「ひっ、え、え?」

「ハハッホントだ面白いお前。」


ピンクのおかっぱ。甲虫を思わせるその羽。ピエロのような服。それらに、ぞくりとした。ぞわりとした。


「え、あ、」

「ああ、自己紹介がまだだったネ。ボク、トミーロッド。」

「あ…昨日、いなかった、副料理長、の、」

「うん、そ。なんだ、記憶力はいいみたいだネ。」


なんで、なんで?どうしてここに。顔から血の気が引いていく。

またしても頭の中が真っ白になり、どう返せばいいのかがわからない。グリンパーチ様もいない。


「え、っと、」

「あ、心配しなくていーよ。別に取って食いやしないし。ほら、スター入っておいでよ起きたよ!」

「え、スタージュン様?」


だらだらと冷や汗が流れる。あの、一人ならまだ許容できるんですが増えるときついです。

扉の方を凝視していると入ってきたのはスタージュン様。続いて…!


「グリンパーチ様っ、」

「おっ?」

「昨日今日で懐いたものだな…。」


その通りだよ、ちょっと一緒にいた時間が長いからってこれではさながら雛鳥の刷り込み現象じゃないか!!

でも正直すごく安心しました…今すぐその腰の布を掴んで後ろに隠れたい…。













虫の親玉怖い


(…グリンパーチ様、ありがとうございます、)

(あァ〜?オレなんかしたかァ?)

(精神的に助かったんじゃないのか?)

((そうですスタージュン様、ナイスフォローです、))













空気の読めるスター様



2013/12/04

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