少女は捕食者が苦手

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人と話すのが苦手である。

俗に言う、コミュ障というやつである。

いじめられた事はないが、友人が出来たこともない。

弁当は自分の席で一人寂しく食う派である。

見られたくないというのもある。肉入ってないし。

動物には懐かれる体質で、どうも動物は食いにくいのである。

動物性の脂が苦手とかそういうのもあるけど…。

とりあえず、簡単に言ってしまえば菜食主義なのである。

今年高校3年になる、そんなコミュ障な菜食主義者が私である。


「はい回収ー」

「げっ」


くっ、もうか、早いよ先生、私自分分析しててまだ進路書いてないよ勘弁して、


「井上…まだ書いてないのか早くしろお前だけだ」

「すっすみません、」


結局放課後まで唸るのを今の私は知らない。


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放課後。人の少ない図書室。

朝から書けずに結局放課後までかかる始末で本当に私って奴ぁ…。

部活はしてない。所謂帰宅部というアレだ。

この高校を決めた最大の理由と言えば近所だから。

そもそも家からあまり離れることがない。離れたくもない。

大学…は、人混みが怖いから遠慮したい…それに正直、コミュ障からは悪いイメージしかない。

就職…も無理だな。迷惑かけるに決まってる…。

…ニートはどうだろうか。なんて、親に迷惑かけるだなんて余計駄目だ…。

勉強は出来る。出来るけど、好きってわけじゃない。

…私のしたいことか…なんだろう…。


「…いや、いっそ盛大な現実逃避がしたいな…。」


さて、では神よ、願わくはあまり人と会わない私が幸せと思える未来を…。


「なーん、てっ?」


がくり。え、なんだ。椅子の足でも折れたか。下を向く。なんだか黒い穴が椅子の足辺りにあって、そこから後ろ側の二本が吸い込まれてる。


「…現実逃避も度が過ぎるぜ、お嬢さん…。」


なんて、自分で突っ込んでも意味がないのでは。黒い穴はどんどん大きくなる。冗談きつい。

それでも椅子から動こうとしない私の体は、やっぱり現実逃避がしたくてたまらないのかも知れない。

成る程、逃げたくてたまらないんだなぁ、なんて穴から目を離して上を向いて溜め息を吐けばまたがくりと下がって、あー、これはあれだ。落下って言うんだな。













はたしてどちらに行くんでござんしょ


(一人だと独り言多くて毎回思うけど私って痛い子だわ…。)













とりっぷちゃん



2013/12/01

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