BL置き場

□恭理樹
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それは、あの事故から半年。まぁなんやかんやありまして恭介と付き合ってる…ってほんとに何があってそうなったんだ⁉自分でもわかんないなぁ…。
ピリリリリ
メールが来た。誰からだろう?
『From:恭介 Subject:無題 俺の部屋に来てくれ。』
なんだろう?
「真人。ちょっと恭介の所に行ってくる。遅くなるかもしれない。」
「ふっふっ…おう!ふっふっ…行って来い!」
腹筋をしながら真人が答える。
さて、何の用事だろう?
僕は恭介の部屋に向かう。
「恭介?来たよ。」
「おう。よく来たな」
笑顔で恭介が出迎えてくれる。恭介の笑顔を見ると胸の辺りが暖かくなる。
「なぁ理樹これ着ないか?」
そういって恭介が取り出したのは…服とウィッグ…服は…スカート…
「スカート⁉なんで⁉というかウィッグって⁉」
「ほら理樹って女の子っぽいだろ?だから女装してくれ」
「そんなさわやかな笑顔で言われても!」
でも、恭介が言うならいいかな…なんて思い始めている僕がいる…
「いやか…?なら強要はしないが…理樹が嫌がることはしたくないしな。」
さみしそうに笑う恭介…あぁ罪悪感が…はぁ…恭介に弱いなぁ…僕…。
「着て…どうするの…?」
「着てくれるのか?」
「いや…着てどうするの…?」
「いや、かわいいかなと思っただけだが?」
かわいいって…
「男に言うセリフじゃないでしょ…」
「そうか?理樹はかわいいから好きだぞ」
なんでそういうことサラッといえるかなぁ…
「照れやがって…かわいいなぁ♪」
僕の頭をなでる恭介…こんなことが幸せと感じる…仕方ない着よう…
「きょ…恭介…き…着ても…いいよ…?」
「マジでか⁉よっしゃあぁあ!」
そこまで喜ぶとは…
そして数分後…
着替え終わった僕…うぅ…恥ずかしい…
「…別人だな…」
「きょ…恭介…」
恥ずかしくて泣きそうだ…。
「ぐはっ!…ちょ…マジやばいって…これ…」
恭介がなんかダメージを受けたようだ…しかもあと、何がぶつぶつとつぶやいてるし…
「恭介…に…似合ってない…?」
「そんなことはない!!」
うわぁ…即答で否定された…似合ってるのはうれしいけど…いや、微妙だ…
「じゃあ理樹。出かけようか。」
「え?…ええぇえぇぇ⁉き…聞いてないよ!」
「ん?あぁ言ってなかったか。まぁいいじゃねぇか。行こうぜ」
恭介は僕の手を引き寮を出た。…女装のまま…

そして外に出る。…周りから見たらどう見えるんだろう…普通の女の子と男の子が付き合ってるようにしかみえないんだろうなぁ…なんか情けない
「恭介…?どこ行くの?」
「理樹は行きたいとこあるか?」
「うーん…とくにはないなぁ」
「じゃあゲーセンにでも行くか?」
「うん。いいよ」
気が付けば僕らの手は俗に言う恋人繋ぎになっていた。
「何か欲しいのあるか?とってやるよ」
「えぇ⁉いいよそんなの!」
「遠慮すんな。彼氏が恋人に何かを送りたいんだ。嫌か?」
覗き込むように僕の顔を見た。優しい笑顔。あぁ…やっぱり恭介が好きだ…
「ん…じゃあ…これかな」
そういって僕が指を指したのは猫のストラップ。
「この真っ白な猫のストラップがいい」
真っ白の猫。それはあの世界で恭介の分身のレノンと一緒。恭介は気が付くかな?何で白猫にしたか…。
「白いのか?」
「うん。白いのがいい」
「わかった。………よっと…取れたぞ」
「わぁ…ありがとう!恭介!」
「どういたしまして。…か」
「恭介なにか言った?」
「いや。何も。さて、次はどうする?」
「おなか減ってきちゃったな。何か食べたい」
朝に呼び出されて、朝食食べそこねちゃったしね。
「そうだな。そういや結局朝飯食い損ねてるか。じゃあ行くか。そこの店でいいか?」
「うん。いいよ」
恭介がハンバーガーとコーラ。僕はハンバーガーとカフェオレ。
「あ、恭介お金…」
「気にするな。おごりだ。」
「…ありがとう…」
恭介は優しい。誰よりも。世界の終わりの時、恭介は僕たちを一番に案じてくれていた。小さい時から憧れて、誰よりも格好良くて。だから好きになった。でも恭介は…?なんで僕のこと好きになったんだろう…?
「き…りき…おい理樹。」
「あ…な、なに?恭介?」
「呼んでも反応しねぇからどうしたのかと思ったぞ」
「ご…ごめん…」
「考え事か?」
「…うん。」
「…俺がお前となんで付き合ったかわかるか?」
ビクッ
ちょうどそのことについて考えていたから過剰に反応してしまった。
「わかん…ない…」
「仲間の中では一番可愛いと思ってたしな。でもまぁ、細かいところは俺もわかんねぇんだけどな。」
そういって恭介は苦笑した。
「そうなの…?恭介でも説明できないって…」
「そういう理樹はわかりやすいよな。」
にししっと笑う恭介。
みんなの人気者でいつも中心にいる恭介。
前、恋愛話で僕が一番って言ってたけど…あくまでそれは友達として…のはず…付き合う要素なんて……
ぽろっ
「おい理樹!?」
気が付けば僕は泣いていた。
「ごめん恭介っ」
僕は席を立ち店を出た。
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