short

□Happy Birthday
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「バンの馬鹿!変態、!スケベ!大っ嫌い!!」

誕生日前日、散々な言葉を浴びせられ去っていくのは愛しい恋人だった

「ちょっ…誤解!」

「もう知らない!!」

必死に宥めようにも聞く耳持たない恋人はそのままマッハで去っていく


事の始まりは悪魔の悪戯により始まった


「バン、誕生日おめでとう…前祝にあげるよ」

「なんだよ?」

嫌な予感がした
こんな笑顔を向ける時の千に嫌な予感がした


綺麗にラッピングされたそれを受け取ると

「分厚いな…」

中身を空けると

「お前!!」

包装紙から出てきたのは男のロマンが詰まったDVDだった


「溜まっているでしょバン?これで発散したら?」

「するか!!」

バンッと叩きつけたディスクはいわゆるAV系のものだ


「お前エロ本も隠してないし…僕なりの気づかいだよ?体に悪いしね」

「何いいことしました的な顔をしてんだ!要らないから!!」

「返却は受け付けないよ?じゃあいい誕生日を」


「送れるか!!」

風のように颯爽と去っていく千はプレゼントを残して出て行くが


運悪くラビチャが入る


「えっ?」

『今から行きます』


七菜からのメッセージにギョッとする


(まずい、まずい!!)


今来られたら厄介だと思ったが時間は待ってくれず



ピンポーン!


インターホンが鳴り

万理は急いで例のものを隠し急いで玄関先に向かった


「バン!」

「いらっしゃい」

いつものように万理に抱きつく七菜を抱きとめる


いつもなら嬉しいはずが今日はひやひやした


「急に来ちゃってごめんね?会うのは午後からだったんだけど…前倒しにして終わらせたんだ」

「そっ…そうなんだ」

予定では昼過ぎまで缶詰の予定だったはずだ


「だって明日はバンのお誕生日だもん!一日バンと一緒にいたかったんだもん」

可愛いことを言ってくれる恋人に笑みがこぼれ油断する


隠したはずのあれを仕舞った箱に手があたり


ガタン!


「げっ…!」

「ああ、DVD落ちちゃったね」

拾おうとする七菜だったが


ピシっ


「おっぱい天国…水着の運動会…」

「わぁぁぁ!」

DVDのタイトルを読み上げる七菜に万理は真っ青になる


「なにこれ?」

「そっ…それは」

いつも可愛らしい笑顔の七菜からは見たことがないほど冷たい表情が浮かぶ



「いや…俺も男だし」

それらしい言い訳をするが


「バンのスケベ!!」

キッと万理を睨み怒るが


「おっ…男がスケベで何が悪いんだよ」

「開き直ったわね…詩音の部屋にはこんなの無かったわ!!」

「‥‥男ならエロ本の一冊ぐらいは普通だよ」


「こんなにたくさん持ってて何が普通よ!私に対する嫌味?例え持ってても隠して置くものでしょ…それを!!」


わなわなと震える七菜は怒りを爆発させた


「バンの馬鹿!変態、!スケベ!大っ嫌い!!」



去り際に放った言葉に唖然としながら万理はそのまま立ち尽くしたのだった
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