出会い系サイトで会いましょう

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連休がきて、俺は久々に『ウィズユー』にログインした。
借金の八百万円はご祝儀の前払いだと言った歩のためにも、俺には新しい一歩を踏み出す義務がある。

歩とのやりとりは既に消えていた。
メールの保存期間は六ヶ月で、期限ギリギリのメールが二通あったが、どちらも業者からだった。

自分のプロフィールを見直すと、酷かった。

自己アピールには
『結婚を目指しています。よろしくお願いします』
としか書いていない。
簡潔だが、千文字書ける貴重なフリースペースだ。
写真も歩の言った通りだった。
まるでなにかの犯人だ。

これが履歴書なら、俺だって迷わず書類選考で落としている。

もう一度、“アユミちゃん”のプロフィールを見たいと思ったがやめておいた。
俺に、歩を追う資格はない。
だが、初めて会った日に、アイツが折角してくれたダメ出しは有効に活用して書き直した。
写真は削除した。

『サポ希です。苺ホ別でどうですか?』

暗号みたいなメールがきたのは、プロフィールを書き直して三日後だった。
ネットで検索すると、すぐに意味は判明した。

サポ希はサポート希望、つまり援助交際希望。
苺は一、五で一万五千円。
ホ別はホテル代別途。
つまるところ『一万五千円ホテル代別途で援助交際』をもちかけていたのだ。

新しい一歩はいきなり出端を挫かれた。
売春なんて、と思ったが、元々イメージしていた出会い系そのものだ。
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