happy
□Happybirthday! セシル!
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シャカシャカシャカシャカ……
時刻はAM6:30。
いつもなら朝食の用意をする時間なんだけど……
「……わたしなんでケーキ作ってるんだろ」
わたしはぼそりと呟いて、生クリームを泡立てていた手を止めた。
シャイニング事務所の社員寮の一室。
わたしが暮らしているその部屋は、朝から甘ーい香りが充満している。
なんでこんなことになったのか、それは昨夜見た夢が関係している。
〜〜☆〜〜
夜中、ふと目が覚めるとそこはどこか森の中で、わたしの周りにはたくさんの蛍が飛んでいた。
そして、
「うた……」
優しくわたしの名前をささやく声が辺りに響く。
「うた……」
わたしはその声に導かれるようにして、森の中を進んだ。
しばらくしてたどり着いたのはキレイな湖のほとりで、月明かりに照らされたそこはとても神秘的な場所だった。
「綺麗………」
思わずそう呟けば、急にぶわっと風が吹いた。
反射的に目を閉じると、ふわりと右手を握られる感覚がして、わたしはそっと目を開けた。
視線の先にいたのは、わたしの目の前に跪た一人の少年だった。
不思議な空気をまとった彼は優しく微笑んだまま、じっとわたしを見つめていた。
「……やっと会えました。my princess」
つたない日本語を話す彼は、そのままゆっくりとわたしの手の甲に口付けた。
その仕草はとても滑らかで、どこか異国の王子様を思わせた。
「愛しいmy princess. うた、貴女は明日がなんの日か知っていますか?」
「……明日?」
突然、彼はそんなことを尋ねてきた。
明日って、確か10月31日だから…
「一般的にはハロウィンって呼ばれる日だと思うんだけど……」
「Non.違います。間違ってはいない。でも、ワタシが聞いた質問の答えではありません」
「…………。」
いや、わかんないだろ。相手がどんな答えを欲しているかなんて……
「明日はワタシがこの星に産まれた日と同じ星ヶが巡りくる日です。」
「…………ん?」
「一年に一度の大切な日だと聞きました。ワタシ、貴女にお祝いしてもらいたい。」
それはつまり、
「誕生日ってこと……?」
「Yes. 明日はワタシのお誕生日です」