妄想たち
□そうやってはじめよう
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歌番組収録が終わって、宿舎に戻ったのは深夜1時を回った頃。
番組のスケジュールはある程度元々決まってはいたが、ありがたいことに一位をとると同時にその他のスケジュールがわらわらと増えていった。
俺たちにとっては待ちに待ったカムバックで、こうして人気が少しずつ出て世間に認知される事を目指していた訳で。
嬉しいのと同時に不慣れな忙しさにそれぞれ小さな疲れが目立ち始めた。
それが顕著に現れたのが、今日の帰りの車の中だ。
12人揃っているというのに、宿舎に着くまでの30分間誰の話し声も聞こえなかったのだ。
大半は、崩れ落ちるように寝ていた。
自分と隣にいたベッキョンを除いては。
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