妄想たち
□リターン
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デビューしてすぐ、怒涛の毎日が訪れた。
一つのグループだけど、二つに別れてデビューステージに明け暮れる毎日。
いろいろあるけど、メンバー全員優しい性格をしているから共同生活も想像よりはましだった。
「オンマーはらへったーーー」
自分より年下の小さなギョンスヒョンの肩に顎を乗せてオンマと呼んで甘えるのは、小悪魔ベッキョニヒョン。
この人の愛嬌の使い方には日々学ぶものがある。
ギョンスヒョンは誰にでも優しいが、甘えられると嬉しくなって言う事を聞いてくれるという事をこの小悪魔は知っている。
「な〜?じょんいなー」
キッチンに水をとりにいって、そのやり取りを見ていた俺に、ベッキョニヒョンがここぞという笑みを見せて肩を抱いてきた。
「ジョンイナもおなか減ってるの?」
そう。ギョンスヒョンは俺には一際甘い。
俺もそんなギョンスヒョンには素直に甘えられる。
…事を小悪魔は知っている。
「減ってるって、ほら」
と言って空いた手で俺の口をヒヨコ口にした。
「ははっ!言ってないじゃん!
もーしょーがないな〜。チヂミでいい?」
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