battre des ailes
□出会う
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シルファがいなくなってから、九年ほどたった今。
私は晴れて訓練兵となった。
勿論お父様とお母様は、私が訓練兵になる事を反対していたのだけれど。
どうしてもと、二人の瞳を見つめ続け、会いたい人がいるんだと訴え続けたら、渋々といったように了知してくれた。それだけ私はシルファに会いたいんだな、なんて自分に苦笑もしたけどね。
もちろん、外の世界の事だって忘れてないよ。シロコと約束した、外の世界を見に行く事、海を見に行く事。
そこにシルファもいたらなんて、夢見てる。
あの約束以来ずっと一緒にいるシロコ。
本当に気まぐれなのかと思うほど、ずっとずっと一緒にいる。
今ではそれが、当たり前というように。
お父様とお母様との別れ際では、
いつでも帰ってきなさい。
―私たちはここで、あなたの帰りを待っているから。
と、嬉しい言葉をくれた。
――生きて帰って来なさい。
そんな意味が込められてる気がした。
心があったかくなるのと同時に、
シルファに会いたい。
はやく。はやく。
なんて。・・・・
今頃シルファはどうしているだろうか?
生きているのだろうか?
・・・いや、絶対生きている。
そう信じる。
「・・・はぁ」
「何ため息ついてる。これから訓練兵の生活が始まるってのにのんきな奴だな。」
「のんきって・・・シロコ・・・」
肩に乗っているシロコを見れば、すがすがしい顔をしていた。
「下ばかり見てるとぶつかるぞ。」
ヒグレはただでさえ細いひょろひょろもやしだからな。と、何ともひどい鳥だ。
「う。わかってる・・・」
なにかと傷つく様なことをずかずか言ってくるシロコ。・・・けど、彼(?)なりに気遣ってくれているのだろうか?
「ヒグレが生きていればいずれ会える」
なんて言うくらいなんだから。
それは、シルファに会える・・・って意味だよね?きっとそうなんだろうな。なんて自問自答してみた。