長い

□2
1ページ/2ページ


「利吉くん…珍しいねそんな酔うなんて」
「あはは…わたしだってたまにはこんなになりますよ」

千鳥足の利吉を半助は支えながら歩く

「君の家はこっからだと…電車で1時間くらいかかるしわたしの家も…いやぁ…かわらないくらい遠いなぁ」

しかたない、給料前だがお世話になってる山田先生の息子さんだ
ここは大人の威厳でタクシーを使おうと広い道路に利吉を誘導しようとした

「あ、土井先生大丈夫ですよ」
「ん?」
「僕の従妹がこの変に住んでで…あ、あそこあのマンションです」

利吉の指差す方を見る
オートロック式のなかなか立派なマンション

「本当に?」
「はい、ちょっと一緒に来てください」

おぼつかない足取りの利吉に誘導され半助も着いて行く

「えっと…たしか202だったな」

赤ら顔でボタンを押す利吉
もし間違いだったらわたしが謝らなきゃいけないと思い胃が痛い


「はい」

ん?女性の声

「あよ、わたしだ山田利吉」
「え…利吉兄ちゃん?」
「開けてくれ」

あよ…?

ガーっと扉が開き
こんな千鳥足の利吉を階段で登らせる訳には行かず2解だがエレベーターを使う
ポンっとエレベータはすぐ階に着き扉が開く

「利吉くん…従妹って女の人だったのかい?」
「そうですよ、まぁ妹みたいなもんですよ」

ピンポン部屋の前でもう一度チャイムを鳴らす

「はーい」

中からまだ幼さの残る声がする
ガチャリと扉が開く

「あよ久しぶり」
「利吉兄ちゃん…未成年の飲酒は禁止されています」
「まぁまぁ…父さんには内密にして今晩泊めてくれ」
「それはいいけど…あれ?お友達?」

いかん、急な展開に着いて行けずただ黙ったままで挨拶もしていなかった

「あ、こんばんわ利吉くんのお父さんと一緒に働かせてもらってます土井半助です」
「こんばんわ孫あよです」

ニコリと笑った顔が可愛くて利吉くん並に顔が赤くなった

「じゃ、じゃあわたしは帰るよ」

そそくさとその場を立ち去ろうとした
が、

「待って!」

ギューっと腕を掴まれる

「え?」
「そんな赤い顔して…一人でなんか帰らせられないですよ」
「いやぁ…でも…」
「いいじゃないですか土井先生、大丈夫ですよあよの家何でもありますから」
「利吉兄ちゃんが何でも置いていくんでしょ!」

結局そのまま少し強引に泊めさせていただけることになった
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ