おとぎばなし

□貴方の声で
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薄暗い部屋。

生気の感じられない貴方の目を
見つめる。

「まるで奴隷みたいね」

貴方、まるで生かされてるみたい。彼は何も感じないふうに、私の服を脱がせる。

「ねえ、貴方本当に生きているの」

「…うるせぇ」

彼の柔らかい唇が、あらわになった私の首筋へ押し当てられる。

生暖かい、にゅるりとしたものに舐められる感覚。

「…んん、ぁ」

「もうちょっと色気のある啼き声、してくんねーの?」

室長としてたみたいに。

そっと耳元で囁く。

それだけで、あなたの言葉を言葉と認識できなくなる。

気だるそうな、でもどこか甘くて官能的な声に脳内が満たされる。

シンナーを吸った時のように、
甘く、トロける感覚に襲われる。
途切れそうな理性をかき集めて、
意識をもっていかれないように。

「なぁ、室長とどんなことした?」

耳元で吐息混じりに質問される。

「おぼえて、な、ぁっ、」

彼の細長く色白な手はいつの間にか下へおりていき、スカートを捲り上げる。

今日、可愛い下着はいてきてたかな。子供っぽくないといいけど。

「ふぅん…、覚えてないくらい激しくシたんだ…?」

指が、下着の中へと侵入する。

背中にぞくりとした感覚が走るとどうじに、この先されることを予想して涙がこぼれ落ちた。

「れい、し、」
愛する人の名前を紡ぐ。

ごめんなさい。

「室長なんか、見ないで」

俺だけを、みてて。
お前の世界は俺だけでいい。

私、あなたに少しだけ狂気を感じたわ。子供じみた無邪気な、狂気ね。

「ずっと俺の傍にいて、」

その愛の重さに耐えられなくて死んでしまうわ。

礼司、貴方以外に汚されることを許してね。

きっと明日には私冷たくなってるわ。

「俺だけ、考えて…?」

これから誰のことも思い出せなくなるのに。

振りかざされたサーベルを見て、そっと目を閉じる。

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