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□キミの心に奪われる---4
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「ふじま」
誰かが呼んでる気がする。
だれだろう。ここはどこだろう。
「ふじ、ま」
手を伸ばす。
暗闇の中を、ただ彷徨っている自分に、眉間に皺を寄せたくなる。
「・・・な、がた」
伸ばした腕が、何かに触れる。その瞬間、目が覚めた。
「花形!」
「うわぁ!びっくりした!いきなり目を開けるなよ」
「いや、ごめんマジで眠ってた」
ぱっと見ても朝になったようでもない。
多分、10分くらいしかたっていないのだろう。
驚いている花形の顔を見て笑ったオレは、再び奴のベッドに転がる。
「どうした?いきなり」
場所をとられて苦笑しつつもデスクチェアに腰を下ろす花形に、オレはムッとし、腕を引っ張った。
「なに」
「こっち」
そういって座らせたのは、ベッドの端。
そのほうが近いから、花形を感じられる。
変態かな、オレ。
「なんか、お前の部屋、落ち着く」
「そうだな・・・。そういえば来た事がなか
ったか」
「ほとんどオレの汚い部屋じゃねえか。
お前、こんな掃除しててオレの部屋超汚いと思ったろ」
図星、とも違う、とも何とも言えない顔をしていた。
風呂上がりなのだろう。
半乾きの前髪から覗く瞳は黒く澄んでいて、余計に答えがわからなくなる。