SD_bl long
□キミの心に奪われる---3
1ページ/4ページ
ああ、あの子かな。あの子かな?
気がつけば、花形と話す女子たちを追ってしまう。
そして、第一印象を上から下まで舐めるように見た上で、心の中で悪態をつく。
そんな日々が、どれだけ続いただろうか。
続けば続くほど、花形のことが好きになるのはわかっていたけど。
「藤真、部活に行こう」
いつのまにか、SHRが終わったのだろうか。
見上げれば、少し遠くに花形の顔がある。
「ああ、今、行く」
最近はこういうことばっかりだ。気がつけば花形がオレの腕を引っ張ってくれる。
それを待っている自分がいるのだろうか。
「あ、あの、花形くん」
まるで、この緩い雰囲気を打ち砕くように、少し高めの声がした。
花形はすかさず「あ、松山さん」と返事をする。
「なに?」
「あ、の・・・ちょっと話したいことがあって・・・」
彼女の顔は物凄く赤い。今にも沸騰して倒れてしまいそうだ。
何だろう、このどす黒い心にかかるモヤモヤは?
花形は、優しいから。
きっと気づいていても、彼女の話を聞くためにこの場を、これからいるべきオレの側を離れるのだろう。
ああ、憂鬱だ。