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□キミの心に奪われる---3
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 ああ、あの子かな。あの子かな?
 気がつけば、花形と話す女子たちを追ってしまう。
そして、第一印象を上から下まで舐めるように見た上で、心の中で悪態をつく。

そんな日々が、どれだけ続いただろうか。
続けば続くほど、花形のことが好きになるのはわかっていたけど。


「藤真、部活に行こう」


いつのまにか、SHRが終わったのだろうか。
見上げれば、少し遠くに花形の顔がある。


「ああ、今、行く」


 最近はこういうことばっかりだ。気がつけば花形がオレの腕を引っ張ってくれる。
それを待っている自分がいるのだろうか。


「あ、あの、花形くん」


まるで、この緩い雰囲気を打ち砕くように、少し高めの声がした。
花形はすかさず「あ、松山さん」と返事をする。


「なに?」

「あ、の・・・ちょっと話したいことがあって・・・」


 彼女の顔は物凄く赤い。今にも沸騰して倒れてしまいそうだ。

何だろう、このどす黒い心にかかるモヤモヤは?

花形は、優しいから。
きっと気づいていても、彼女の話を聞くためにこの場を、これからいるべきオレの側を離れるのだろう。


ああ、憂鬱だ。




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