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□キミの心に奪われる
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春、入学。


念願の翔陽高校に合格し、意気揚々で入学式を迎えてくる生徒達。藤真健司も、その一人だった。
顔にこそ出してはいないけれど、心の中ではガッツポーズをしていた。


長い入学式も終わり、教室へと移動して、HRを始める。


オレは、あまり人とは関わりたくない、うまが合わない奴らとは、付き合いたくはなかった。
だから、上辺だけの関係なんてほとほとやりたくないし、実際、やってきたこともない。
そのせいか、友達は少なかったかもしれない。けれどそれは性格なので仕方がないかもしれないけれど。


けれど、やはり目立たず時を過ごす事は不可能だった。
自分では普通だと思っている顔も、民衆の前に現れるとやはり違うものなのか。
ほとんどの女子がこちらを振り返る。


まったく、前見て歩けってんだ。転べよもう。
そう思うくらい視線にうんざりしていた。別に女子達に罪はない。


HRが終って、ようやく念願の体育館に到着する事ができた。
まだ他のクラスは終っていないのか、体育館には誰もいなかった。


いや、正確に言えば、見慣れたボール一個以外は。


「ちゃんとしまっとけよ・・・・。」


隅っこに忘れ去られたボールに、苦笑しつつ近づく。


ここ最近、受験でバスケをしていなかった。ボールに触るのも久しぶりだ。
まあ、それぐらい勉強を溜め込んでいた俺も悪いけど。



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