chihayahuru_BL
□Vol.4
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「…は?」
いきなりのことで太一は思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
しかし、新が思っていたより
真面目な顔で聞いてきたため、この会話は流すことができなくなった。
以前の太一だったら、好きだと言っていたのかもしれない。
見た目は可愛くて
物事をハキハキ言えて、積極的な千早には大抵の男子は惹かれていた。
太一もまた、その男子の一人だった。
しかし新が転校してきて、環境が変わった。
堂々と、好きだとか言えなくなった。
いじめていた奴のことを気になって
最終的には男相手を好きになってしまったのだから。
「…仲間としては、好きだ…だけど…」
恋愛感情ではない。
それだけはわかっていた。
その証拠に、中学は離れ離れになるというのに、クラスメイトより
千早より誰よりも、何よりも新と別れることの方がツライと
感じている自分がいることに太一は気付いている。
「お前は、どうなんだよ」
太一も同じことを考えていたのは事実だった。
新の方こそ、千早が好きだと思っていた。
最初に、新の心を開いたのは、千早だったから。
だから、怖かった。
もし…もし、想像通りに新が千早のことを好きだったら?
…俺に勝ち目がないのは目に見えていた。
だから、聞きたくなかった。
だけど、今ならまだ、まだ間にあう。
心の整理がまだつけられると思った。
「俺?俺は…」