chihayahuru_BL
□Vol.4
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千早を、困らせてしまった。
悲しませてしまった。
いつか別れることなんて仕方がないことだと知るにはまだ若すぎた。
知っているフリをしていても
残される側の方がツライのだと小六の太一には分かる術はこれまでに無かった。
それは、新にも言えることで、太一と同じような面持ちで空を見つめていた。
「千早…大丈夫かの」
いつもは3人で帰っていた道を太一と二人で歩いて
少し空しさを感じたのか新がぽつりと声を漏らし、空気中に溶けていく。
「…でも、まさか新までいなくなるなんてな」
思ってもみなかった。
なんて、新をも困らせるだけだというのは分かっているのに。
新と千早がいてくれれば…そう思っていたのに…。
千早を一人、残して行く罪悪感がつのる。
しかし、それだけではないことを心が訴えているのがわかる。
前から、気付いていた。
信じたくはないけれど、どうにもできない感情が身体を渦巻いているのがわかる。
やっと、コイツと…新と、仲良くなれたのに。
「…寂しいなぁ、太一」
はぁっ…と白い息を吐きながら新が呟く。
考えを見透かされたようなタイミングに太一は少し肩を揺らしたが
すぐにそうでないことを悟り、静かにうなずいた。
「なぁ、太一。お前、千早のこと好きやろ」