chihayahuru_BL

□Vol.3
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白波かるた会に入って大会に出場すると決めてからの
特訓の日々はめまぐるしいものだった。


新はともかく、暗記力のある太一はさほど苦しくもなかったのだが
千早がうんうん唸りながら札を覚えているのを見て少し優越感に浸っていた。


しかし、新と太一が仲良くなってきた頃に
二人が中学では一緒にいられないと知った千早は
迫りくる孤独に耐えきれずにかるたから、二人から逃げ出してしまった。


どうしたものかと考えた末に足を運んだのは某洋服ショップだった。


「俺が金出してやるから,お前文字つけろ」


太一自身、千早に対して悪い、という思いはあった。

それは新も同じなようで、二人でどうにかチームを完成させたかったのだ。


しかし小学生にできることといえばそんなに多くはない。

太一にできることは、お金を出すことくらいしか思いつかなかった。


「太一、ありがとう」


新は申し訳なさそうにお礼を言ったが
仕方がないこともあると、太一は割り切っていた。

店の中をぐるっと回って、比較的安価で目立つ色を選ぶ。


太一が手を伸ばしたTシャツに、新も手を伸ばし、二人の手が重なる。


「この色、いいなあ。ちはやふる…チームにぴったりやと思わん?」

「…そうだな」


最近新の口から千早関連の言葉が出てくると少し棘が刺さった様に心が痛む。

我慢しても我慢しても、それは日に日に大きくなっていくのだ。

太一はそれを何かで緩和したくて周りを見回すと
某アイスクリーム店が目に入り、そこへ一直線に歩き始めた。

Tシャツが入った袋をしっかりと持って新も走って追いかけてきた。




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