chihayahuru_BL

□Vol.2
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笑った顔を見るのは、稀だった。


「やるからには、勝つ」


あいつの表情で覚えているのは、かるたに対して集中する真剣な顔だけだ。


初めて対戦したあの日から、あの澄んだ吸い込まれそうな瞳が頭から消えてくれない。


それどころか、いろんな表情をもっと…もっと、見たくなる。



かるた会の帰り道、千早が家族で出かけるため母親が迎えに来て
寒空の中、残された新と太一はとぼとぼと帰り道を辿って歩く。

会話もない空気が微妙に気まずく感じる
。小学校のかるた大会以来、二人で行動を共にすることは無かった。


「…真島」

「…!」


気まずい空間を破ったのは新の方で
太一は警戒していた手前急に声をかけられてビクついた。
その様子を見て新は足を止めた後、笑った。




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