chihayahuru_BL

□Vol.4
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新がふと空から太一に視線を移す。

それに流されるように太一も新を見つめた。
黒い澄んだ大きい瞳が、太一の顔を写す。

そのまなざしはしっかりと太一を捉えていて
太一はその視線から動けなくなってしまった。


「太一が、千早のこと好きじゃなくて」


ふっと笑って見つめられて、太一は確信した。


「(好きだ。…コイツのことが、本当に…)」


新も、おんなじ想いだったら良いのに。

だけど、今はまだ。


「新、帰ろう」


大好きな気持ちに気づいて、大好きな人が今隣にいるのが、何より幸せなんだと。

もうすぐ別れてしまうけれど、きっとこの想いは途切れることはないのだろう。


「ああ」


今はまだこのままがいい。

そう幸せを噛みしめながら、太一は雪の降る道を新と歩いて行った。




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