chihayahuru_BL
□Vol.4
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気持ちに終止符を打てるから。
そう決心して小さな拳を握りしめて、太一は俯いた。
それとは反対に、答えかけた新は雪の降る空を見上げて
小さいけれどしっかりした声音で呟いた。
「俺も…恋愛じゃあ、ないなあ…」
ハッとしてあげた顔に雪が落ちる。
頬にふんわりと乗って熱で溶けて伝っていく。
「…そっか」
力が緩んで、泣きそうだった。
涙の代わりに雪が水になって頬を流れて行ったことをありがたく思って
太一は顔を空へと向けた。
細やかな雪が、儚げに風に揺れながら舞っていく。
「(…そっか…)」
よかった、と心が飛び跳ねているのがわかる。
千早と新と仲良くなって行くうちに積もっていく心の重荷が
雪のようにすっと溶けてなくなっていくのがわかった。
「でも、良かった」
「あ?」