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□キミの心に奪われる---2
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「(ちがうだろ)」
心の中で葛藤が始まる。なぜだろう、一瞬、そんな考えがよぎった。
そして、消えない。
「お前は?」
「あ?」
話を聞いてなかった。我に返ると少し顔をこわばらせた、花形の顔。
「藤真にはいないのか?好きな子」
柔らかな物言いと、強張った顔。そのギャップが可笑しくて、思わず質問そっちのけで笑ってしまった。
そのことに花形はもちろん気づくこともなく、頭にクエスチョンを浮かべていたが。
「お、れはいないな。気になるヤツなら、いるけど」
それは、お前だといったらどんな顔をするんだろうな、花形。
気持ち悪いとか、そう思うのかな。まあ、常識人だしな。
とりあえずそういう仮定。
「そう、なのか・・・。そうか」
花形の顔が曇る。なんだろう、このイラつき感は。
なんか、心がざわめく。
沈黙が、オレの部屋に流れる。いつもは音楽で鳴っている部屋が花形に気を遣って静かにしている。
「お前さ、気になるヤツいるなら、諦めるなよ」
花形が顔を上げる。少し潤んだ目でみてくる。
ああ、こんな表情もあるんだなと、心がときめく。
「・・・うん。ありがとう。頑張るよ」
へへ、とはにかみながら笑う花形に、オレはシアワセとシットの二つを想いを抱える。
花形が笑っていれば、幸せ。
だけど、その裏には、嫉妬。