原石と化け物。

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05.自惚れ野郎と対面



あー…だっるーい



これが噂の五月病ですか、いや違うな。今、8月だし




じゃ、あれか



冷房風邪、それか、夏風邪



どっちも一緒か?



いや、考えんの、やめよう



頭痛くなる




『せんせー…たのもー』




ガラリ、と扉を開いて歩み入る



返事しねーな…いないのか?




『すいませーん、せんせーいますー?』





シーン





あー二度手間な感じかな?



職員室、先行けば良かったと思うも後の祭り



おし、お邪魔するぜ




体温計借りるぜー


ベッドも借りるよー




『あーよっこらせ』



ベッドに腰を下ろして、体温を計る


ピピピ、とOKを知らせる音がすると、体温計を取り出す



『えーっとー…んー?36.6?フツーだな。あれか、寝不足か…寝れば治るやつだね。んじゃ、寝ますか。おやすー』




布団をバサッと被るとすやすやと眠り出した



あ、せんせーに書き置きすんの忘れた



ま、いっか



――……




『ん、』




えーあー…今、何時?



壁掛け時計を確認すると、丁度昼休みらしい



「あのー…怪我人なんッスけど…先生いますか?」



ガラッと扉が開いて金髪が入ってくる



なんだ、コイツ

チャラチャラしてんなぁ




『せんせーいないよ、多分職員室』





「え。」




金髪はこっちを見る



何だよ



『何。』



「ありがとッス」



『いえいえ。じゃあ、あたし、教室戻るんで…』



よっこらせ、とベッドから立つ



そして、保健室から出ようとすると前に立ちはだかる金髪



『何すか』



「いやえっと、俺、知らない?」



『は?』



「噂とかでもいいからさ、俺のこと知らない?」



『ちょっと、言ってる意味が理解出来ないのだけども…』



「え?どっかで見たことない?俺のこと」



『見たことも会ったこともありませんけど…それが何か』



「黄瀬涼太って知らない?」



『知らない』



「えー!?」



『何だよ。』


ほんと、何なんだコイツ


「キセリョって言ったら分かる?」



『ますます分からん』




「えー?!」


何で知らないの?みたいな顔されても困るんだが



『あのさ、もう行っていいかな』



「俺、黄瀬涼太っていうんス」



『あ、そう。』




「反応薄いんスね。同じクラスなのに」




『あれ、そうだっけ?ふーん、よろしく』


「俺、モデルやってるんス」



『あーだから、俺のこと知らないのかって聞いたんだ』



「うん」



『自惚れんな、バカ』



「え?」



『あたしはモデルとかそーゆーの興味ないし、知りたいとも思わない。人を外見で判断する奴、嫌いだから。アンタとも仲良くなれそーにないわ、んじゃ失礼』




「名前だけ教えてほしいッス」



『下らないこと言う奴に教える名前はない』




「お願いッス!」



『仕方ないなぁ、』






『高梨莉卯』




名前だけ告げると教室に戻った




(貴様、どこに行っていたのだよ!)
(真ちゃん、激おこぷんぷん丸だね)
(喧嘩売ってるのか!)
(幾らで買ってくれますか)
(心配して損したのだよ!)
(それよりさ、自惚れ野郎に会ったよ)
(それ、黄瀬くんじゃないですか)
(あーそんなの、なんかデルモって言ってた)



20130904

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