愛という偽りを

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02.

約束の日、烏野高校にやって来た

『変わんないなぁ、此処も。』

お目当てである体育館に向かうと既に練習試合は始まっていてキュッキュという、バッシュと床の擦れる音が響いていた

懐かしいな、この感じ
あたしの好きな匂い…いや、もう嫌いになったんだった

観客席に着くとまだ始まったばかりなのか嶋っちの姿はない

1番乗りか…あんまり嬉しくない

観客席から下を覗くと繋心はコーチとしてメンバーに指示を出してる。まぁ、当然と言えば当然なんだけど…。

『つまんないの』

なんだろう、凄く面白くない感じ。
あれか、あたしよりキラキラしてるってところか。

何とも言えない顔で試合を観ていたら、凄まじいジャンプでアタックした子が見えた

『うそ、今のあの子?力強い…』

現代の小さな巨人か…面白い展開になってきた。きょーちゃんって学校のことあんまり話さないから分かんなかったけど…これは凄いわ。隠してたつもりはないかもしれないけど、隠したくなる気持ちも分かる。

あのセッターくんとちびっ子のコンビ、いいね。観てるこっちが、ゾクゾクする。やっぱりバレーはこうでなくっちゃ。

嶋田「あれ?麗子?」

『あ、嶋っち久しぶり』

嶋田「何でここに?」

『見学』

嶋田「繋心とは仲直りしたのか?」

『何のこと?あたしは、きょーちゃんに悪い虫が付いていないか視察に来たの。あと、あのロリコンが手を出してないかをね。』

嶋田「ブッ!ロリコ…ふはは…」

『何で笑うのよ。年下の彼女いたんだからロリコンでしょーよ。』

嶋田「やっぱそれ根に持ってんだ?」

『何が?』

嶋田「繋心に年下の彼女いたこと」

『べっつにー?気にしてないし。ていうか、もう彼女じゃないんだから気にする必要ないし?それより、嶋っち。』  
 
嶋田「んー?」

『繋心ってちゃんとコーチ出来てんの?きょーちゃんのチームでもあるわけなんだからしっかり教えてもらわないとね。』

嶋田「本当に素直じゃねーな、お前。ちゃんとコーチやってるよ。アイツなりに、ね。」

『うるさい。…でも、よかった。実は、彼女いたこともあたしなりに悩んだけどそれが繋心の選んだことだからそれを1番としようかなって思ったの。だってさ、元カノの分際で偉そうに言えないじゃん?捨てられた訳ですし。あたしには繋心しかいないって思ってたのにアイツは簡単に彼女つくっちゃうしさ!』

嶋田「でも繋心もお前のこと引き摺ってたと思うよ?その証拠に元カノの名前、麗子だし。」

『うん、知ってる。だけど、偶然だと思ってたから気にしてなかった。』

嶋田「偶然なわけあるか。アイツもお前もひねくれてんだよ。」

『そうだね。』

嶋田「あの生き生きした顔見てヨリ戻したいって思ったか?」

『今は分かんないよ。そんな簡単に昔のこと吹っ切れるわけじゃないし。』

嶋田「だーよな。そんなんだろうと思ってた。まぁ、思い詰めんなよ?」

『うん、頑張る…。』


でも、繋心のあんな顔見れるなんて。
きょーちゃんはいつも見てるのかー……いいなぁ。


は?!いいなぁって何が?!
どっちかって言うときょーちゃんの可愛い姿を見れてる繋心を羨むとこでしょ!!

ちがう、私別に繋心のこと好きじゃない……でも。


『あいつはどう思ってんだろ……』


ナンデキニナルノ

別れて関係も捨て去った男が


ムネイタイ……

久しぶりの感情で胸が驚いてるんだ、そうに違いない


そう思い込んで下を見ていたら、繋心がふと上を向いた


こっちを向いたと思ったのか
反射でしゃがんでしまった


どうせ後で会うのに


繋心 (気のせいか……?でも、アイツがいた気がした……)


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