夢ならよかった

□勝ったときの喜びと
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『か、勝ったー!』




私がマネージャーを始めて


1週間が経った頃、練習試合でもない本当の試合が行われた



結果は誠凛の勝ち




『やったー!!コガ!!』



喜びのあまり、ベンチにいたコガに飛びついた



「うおっ!!」



コガは驚きつつも抱きとめてくれる




トクン…



それと同時に高鳴る胸


私はこの感情を知らない



『皆を支えるって大変だけど楽しいね!皆のプレイを見てると勇気が出てくるの!勝つってこんなに嬉しいんだね!』



今まで縁のなかった感情に


戸惑いながらも満足している



目立つことを嫌った地味な私は



こんなにも明るく接することが出来てる



あんなに足を引っ張るからと言ったのに



マネージャーの役職に満足している私がいる



皆で勝つことがこんなに嬉しいことなんだって


初めて知った



色んな感情が渦巻いた私は、コガに抱き着いたまま涙を流した



日向「おい、コガ。女子泣かしてんじゃねーよ」



「俺?!」



水戸部「……………」



水戸部くんは相変わらず何も喋らないけど、ハンカチを差し出した


これで涙を拭けってことなんだろう



『あ、ありがとうっ…水戸部くん…うぅ…』



「勝つの嬉しいだろ?」



『うん、嬉しい…っく…』



「俺も嬉しい」



リコ「感動したのね…ごほん、それより2人はいつまで抱き合ってるのかしら?」



「え?」



リコ「あなたたち、注目の的になってるわよ」



『はっ!あ、ごめっ…』



リコちゃんに言われて顔を上げると、体育館中の目線を感じた


相手チームの人にも見られてると思う(実際に見られてる)と顔から火が出るほど恥ずかしくなる



『ご、ごめん…コガ…嬉しくてつい…』



「いや、別にいーけど…」



微妙に気まずくなる



リコ「よーし!ご飯食べに行くわよ!」




初めて感じたのは



勝つことの喜びと




胸の高鳴り




(ご飯って金はどうするんだ?)
(それはここで完食をしてもらいます)
(此処、結構大きいお肉が出てくるとこだよね?)
(まぁ、なんとかなるわよ)
(ならなかったらどうするの?)
(その時は…ね!)




20131127

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