時よ、戻れ

□両親が死んだ
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事実を知って泣きじゃくった私はお通夜の頃には涙が枯れてしまっていた

黒い服を纏ってずっと椅子に座っていた

「綾ちゃん」

ふと、顔を上げると久しく会うお婆ちゃんと美智子叔母さんが立っていた


「美智子から話は聞いたわ。貴女が、私の娘を殺したのよね。いつものケーキでいいはずなのに貴女が我が儘を言ったから美佳子は死んだのよ?」


「お母さん!そんな言い方ないでしょう?!綾ちゃんは10歳でお母さんとお父さんを亡くしたんですよ?!」


「そのきっかけを作ったのは綾でしょう。」


「きっと時間がずれてたら事故になんて遭わなかったかもしれない。今、買いに行こうって言ったのお義兄さんよ?全部が全部綾ちゃんが悪い訳じゃないじゃない。」


「美智子。貴女だって腹の中じゃ綾のこと恨んでるのでしょう?」


「そんなことない。私より遥かに綾ちゃんの方が辛いもの!」


「もう、そんなことどうだっていいわ。現に美佳子はもういないんだもの。綾、」


『は、はい…』


「口は災いの元って教わったかしら?」


『いいえ、知りません。』


「そんなことも知らないの。まぁ、いいわ。ポロッと漏れた言葉で他人も自分も不幸にするっていう意味なの。貴女は正にそれだわ。今度から、余計なことは言わないことね。」


『はい…』


「孫が人殺しだなんて紺野家の恥だわ。美佳子を殺した貴女は幸せになる資格なんてないのよ。」


「お母さん!いい加減にしてよ!」


『ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…』


「綾ちゃん、あっちでご飯食べようね。」


下を向いて謝り続ける私の手を引いてくれたのは他でもない美智子叔母さんだった


みっちゃんも…
本当は恨んでるよね?お姉ちゃんを亡くしたんだもん…当然だよね…



20150816
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