夢ならよかった
□自分のことじゃないけど…
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「なー!スゲーんだぜ!つぇーの!」
親友のコガはほぼ毎回、主語を忘れる
『うん。だから、何が?』
「今年の1年!」
『今年の1年間?』
「今年の1年生!」
今年の1年生が何かで強いらしい
『ごめん、全然話がみえないんだけど何?』
「悪い、興奮しすぎた。同じバスケ部に入った1年が強いんだよ!もうすっげぇ!」
『ふーん…え?バスケ部?』
「おー。話してなかったっけ?俺と水戸部、バスケ部に入ってんだけど」
『何それ、初耳』
「ごめん、話したと思ってたー!じゃあ、今度バスケ部に遊びに来いよ!水戸部とかカッコイーぞー!俺もな!」
『あの、相田さんが監督やってるバスケ部に?』
「ん?監督のこと知ってんの?」
『当たり前だよ!有名だよ?男子バスケ部に女子の監督って!』
「そっか!俺ら待ってっからいつでも遊びに来いよ!」
『え、だって…男子バスケ部に女子の私が遊びになんて…』
「いやむしろ、歓迎されるぞ。2年も結構いるしなー!」
『へぇ…』
ヴーヴー…
喋っていると携帯のバイブ音
開くとメールが1件
もしかして…と思い、メールを開くと思った通り、水戸部くんからだった
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To:篠原
Sub:歓迎するよ
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バスケ部に見学に来なよ
待ってるから
水戸部
『水戸部くん…』
「水戸部がどーかし『ありがとう!遠慮なく見に行かせてもらうね!』」
こくん
優しげに微笑む姿は母親というより兄のよう
「最近水戸部ばっかと喋ってるよなー」
『そんなことないと思うけど…』
「自覚なしかー…こりゃ参ったわ」
『だって、こういうお兄ちゃんいたらいいじゃん』
「は?」
『水戸部くん、お母さんっていうかお兄ちゃんっぽいんだよね!こういうお兄ちゃんいたら幸せだなーって思ってたんだー』
途端に顔を紅く染める、水戸部くん
え、ちょ、可愛いなおい
「そんなら、いい!おし、じゃあ、明日の練習来いよ」
『あ、うん!』
「体育館の手前側でやってっから。奥はバレー部だからな、間違えんなよ」
『だいじょーぶだーってー』
「じゃあ、忘れんなよー」
『はいよー』
そういえば、話としては触れなかったけど
自分のことじゃないけど…って話してたコガ、いつもより輝いて見えた
20130728